インテル、欧州でチップ製造工場拡大へ--10年で800億ユーロ投資の可能性

Liam Tung (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2021-09-09 13:47

 Intelの最高経営責任者(CEO)Pat Gelsinger氏は、今後10年間で800億ユーロ(約11兆円)を投じ、欧州に「巨大な」チップ製造工場を建設する可能性があると述べた。

 Gelsinger氏は、独ミュンヘンで開催された年次モーターショー「IAA Mobility」の基調講演で、この計画を明らかにした。コロナ禍の世界的なチップ不足により、欧州と米国の自動車産業は大きな影響を受けている。

 Gelsinger氏はドイツの自動車業界の関係者に、「世界なチップ不足への対応は順調に進んでいるが、半導体の危機的な状況に加え、世界的なサプライチェーンの影響と、サプライチェーンの脆弱さが明らかになった」と述べた。

 「Intelはどのように手助けできるか考えた。当社は、より多くのチップを生産できる」(同氏)

 同社は、欧州で予定している「巨大なチップ製造工場」について、年内に発表したい考えだ。また、同社のアイルランドの半導体工場を、自動車向けチップの生産に活用するとしている。

 Intelは2021年3月、アイルランドなど欧州で製造スペースを倍増するために、70億ドル(約7700億円)を投資していると発表した。7nmチップの生産を強化する計画だ。

 また同氏によると、世界の半導体供給における欧州のシェアを20%に引き上げることを目指す欧州委員会の計画を支援したい考えのようだ。欧州の「Digital Compass」計画は、欧州連合(EU)が2030年までに「デジタル主権」を確立することなどを目指している。

 Gelsinger氏は、「欧州は1990年に、世界の半導体産業の44%を占めていたが、現在は9%だ」と指摘する。「つまり欧州は、世界の供給量のほぼ半分を製造していたにも関わらず、現在はわずか9%で、減少の一途をたどっている」(同氏)

 「すべてが半導体で動作するデジタルの未来は、あらゆる面において緊急な重要事項だ。欧州の経済と国家安全保障にとって、最も重要な技術の1つをコントロールできなくなるギリギリの局面を迎えている」(同氏)

 同氏は、「新型コロナの感染拡大で、世界的にバランスのとれたサプライチェーンが絶対に不可欠であることが浮き彫りになった」と述べた。

 同社の幹部がFinancial Timesに語ったところによると、半導体工場の候補地として、ドイツ、オランダ、フランス、ベルギーを検討中だ。

 Gelsinger氏は、「最新鋭の製造工場を2つ建設する。そして、それら2つの工場が新たな拠点を立ち上げ、その後10年かけて8つの製造工場に増やしていく」と述べた。

 「工場はそれぞれ約100億ユーロ(約1兆3000億円)のため、この10年間のプロジェクト全体で総額800億ユーロ(約11兆円)になるだろう」と説明している。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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