ソーラーウインズ、オブザーバビリティー製品を2022年中にリリースへ

渡邉利和

2021-09-29 11:15

 ソーラーウインズ・ジャパンは9月28日、報道関係者向けに事業戦略説明会をオンラインで開催した。オブザーバビリティー(可観測性)に対応するプラットフォームを2022年中に提供する計画を明らかにした。

 まずグローバルの状況を説明した米SolarWinds 代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)のSudhakar Ramakrishna氏は、同社のミッションについて「ハイブリッドIT環境向けのシンプルでパワフルかつセキュアなソリューションの提供により、お客さまのビジネスの変革を加速させること」だと説明。同社が「IT運用監視・管理の業界リーダー」として信頼されていることの証として、グローバルでの顧客数が30万社以上で、Fortune 500企業のうちの498社で採用されているといった数字を挙げた。

米SolarWinds 代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)のSudhakar Ramakrishna氏(左)とソーラーウインズ・ジャパン 代表取締役社長の脇本亜紀氏
米SolarWinds 代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)のSudhakar Ramakrishna氏(左)とソーラーウィンズ・ジャパン 代表取締役社長の脇本亜紀氏

 また、同社の2021年の重点戦略としては「インターナショナルマーケット」に注力しているといい、日本市場に対するコミットメントはその一環となる。同氏は「日本市場は、われわれの成長戦略にとって極めて重要だ」と強調した。また、市場セグメントの中ではエンタープライズ市場に注力しているという。同社の製品は企業規模を問わず活用されており、それにはさまざまな市場セグメントに対応するパートナーの尽力があってのものだといい、現在の注力分野としては日本のエンタープライズ市場を重視しているという。

 続いてRamakrishna氏は、同社のオブザーバビリティーに対する取り組みについて説明した。現在の同社のモニタリングソリューションでは、ネットワーク、システム、データベース、セキュリティ、アプリケーションを対象とし、さらにITサービスマネジメント(ITSM)ソリューションも提供する。一方、デジタル変革(DX)の進展によってユーザーの環境が複雑化し、ニーズも変化していることから、新たに「オブザーバビリティーをサポートする単一のハイブリッドプラットフォームを提供」するという。ここには、AIOps(IT運用のための人工知能)や機械学習機能も組み込まれる。現在開発作業が進行中で、2022年中のリリースを予定しており、これによって同社のソリューションは“モニタリング”から“オブザーバビリティー”へと発展することになる。

同社のソリューションは、現在のモニタリングから2022年以降は観測性を軸にしたプラットフォームになる
同社のソリューションは、現在のモニタリングから2022年以降は観測性を軸にしたプラットフォームになる

 市場ではオブザーバビリティーをうたう競合製品が存在するが、ソリューションの優位性として、同氏は「一般にオブザーバビリティーという場合にはログ/トレース/メトリックスについてのみ語られ、自動化/可視化/修復(remmediate)をオブザーバビリティーに含めることはないが、われわれはこれらの機能も全て統合した包括的なビューを提供することができる。そして、われわれにはこのミッション/ビジョンを実現可能なテクノロジーと人材もそろっている」と語った。

 また、新しいプラットフォームでもパートナーによる拡張や付加価値の提供が可能になっており、パートナーと協力してユーザーニーズに対応していくという。なお、「SolarWinds Observability Platform」と呼ばれる新プラットフォームは現在開発中で詳細は明かされていないが、従来のプラットフォームを置き換えるのではなく、拡張していく形になるとされている。

新プラットフォームでもたらされる価値
新プラットフォームでもたらされる価値

 Ramakrishna氏は、Citrix、Pulse Secureを経て2021年1月にSolarWindsのCEOに就任したが、同氏はグローバルでの事業方針を国内での事業展開を担うソーラーウインズ・ジャパン 代表取締役社長の脇本亜紀氏について、「3社連続で一緒に働くことになった同僚」と紹介している。脇本氏は国内の事業戦略について、「ハイタッチ営業の強化」「日本市場に合ったパートナー戦略の実施」「認知度向上」「組織の強化」を挙げている。

 さらに脇本氏は、Ramakrishna氏の説明を補足する形で、同社のソリューションの強みとして、基盤となる単一のプラットフォーム「ORION Platform」上で複数の監視モジュールを実装するアーキテクチャーの優位性と、ユーザーコミュニティーが活発に活動しており、あたかもオープンソースコミュニティーのようにナレッジが共有されている点を挙げている。同氏は従来の監視/モニタリングのソリューションが対象ごとに異なっていることから細分化/サイロ化に陥っていることを挙げ、同社のソリューションでは単一の統合されたプラットフォームでさまざまな対象を監視でき、さらにオンプレミスでもクラウドでも一元的に監視できる点を強く訴求していきたいとしている。

SolarWindsの強み
SolarWindsの強み

 なお、同社に関しては、2020年に発覚した大規模かつ巧妙な「サプライチェーン攻撃」によって世間に広く名前が知られてしまったという面がある。このセキュリティ侵害の発覚後、しばらくは新規顧客獲得のための活動は休止し、被害を受けた既存顧客のサポートに専念するなどの対応によって事業にも影響があったことは確かだが、同社では新たに“Secure by Design”に関する取り組みを進化させ、透明性の高い対応に努めた結果、信頼を取り戻すことができたという。

国内事業戦略
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