NECと九州大学は、感情推移や行動履歴などの日常生活データに基づきパーソナライズされたヘルスケアサービスを提供して健康行動を促す実証実験を2月9日から実施する。NECと九州大学はデータを活用して社会課題の解決を目指す「データドリブン型社会」の実現に向けて2020年10月に連携協定を締結しており、同実証は第一弾の取り組み。
新型コロナウイルスの感染拡大以降、いわゆる「受診控え」などにより外来間隔が長期化し、定期的に医療機関を受診している人々の健康状態の把握が困難となっている。今回の実証では生活習慣病の臨床でも見られる、投薬せずに生活習慣改善を指導する医師の保健指導を想定している。ITを活用して医師へ提供するデータの種類や取得頻度を増加させ、保健指導の高度化を狙う。
従来、リフレッシュプログラムとして九州大学で実施してきた生活習慣改善支援プログラムを発展させ、実証協力者の日常生活や感情推移のデータを用いて九州大学キャンパスライフ・健康支援センターの医師から、一人ひとりに合わせた健康に関するアドバイスや生活改善に向けたサポートを行う。
活用するデータは、心拍変動データにより感情を可視化する「NEC 感情分析ソリューション」を活用した感情推移データや、本人の申告に基づく食事、睡眠時間、活動内容などの行動履歴データをウェアラブルデバイスやスマートフォンを通じて収集したものを利用する。
データ収集後は、カメラ映像から顔認証により実証協力者を特定し、個人情報が含まない内容で、本人に適した健康を促す食事や運動、休息に関するクーポンをデジタルサイネージに表示してレコメンドを行う。デジタルサイネージ上にはQRコードも表示される。実証協力者はこのQRコードをスマートフォンで読み取ることで、感情推移や健康に関するデータやクーポンのイメージを確認することが可能。今回の実証では、実際には利用できないダミークーポンや、仮想イメージによるレコメンドを用いて、サービスの受容性を検証する。
今回の実証では、カメラとディスプレイを用いて視聴者に合わせたコンテンツを表示するNECの「サイネージ導入セット」を活用している。サイネージは、手や体の動きといったジェスチャーによって離れた場所からIT機器を操作できる、NECソリューションイノベータの「NEC ジェスチャーUIソリューション」に対応しており、非接触で操作が可能。
デジタルサイネージを活用した実証イメージ(左)とサイネージ表示画面サンプル(右)