Microsoftのデジタルトランスフォーメーショングループでプレジデントを務めるJames Phillips氏が米国時間4月15日付で退社する。同氏は10年間在籍したベテランだ。デジタルトランスフォーメーショングループは1万5000人規模におよぶ組織だ。エグゼクティブバイスプレジデントのScott Guthrie氏が4日、電子メールでPhillips氏の退社を発表したという。このほか、Microsoftのクラウド+人工知能(AI)グループでいくつかの動きがあるようだ。
Phillips氏は2021年3月、新しいデジタルトランスフォーメーショングループのプレジデントに指名された。このグループは、「Dynamics 365」「Power Platform」「Azure AI Platform」「Azure Data Platform」「Azure IoT Platform」のほか、拡大している「Microsoft Cloud」の業界向けソリューションなどを担当している。Phillips氏は2022年1月より、シアトルを拠点とするMadrona Venture Groupの戦略担当ディレクターにも就任している。
Phillips氏は2012年、当時Microsoftのクラウドおよびエンタープライズ部門のプレジデントを務めていたSatya Nadella氏の戦略アドバイザーとして同社に入社した。Microsoftへの入社前は、NoSQLデータベースベンダーCouchbaseの共同創業者で、最高経営責任者(CEO)だった。
MicrosoftがPhillips氏の後任を指名するという話は聞いていない。筆者は同社にコメントを求めている。Phillips氏の直属の部下とグループは分割され、配置換えされているようだ。
Phillips氏は4日、退社の決定に関してLinkedInで簡単に報告している。次の仕事については、数週間以内に詳細を発表するとしている。
Guthrie氏は、Charles Lamanna氏が引き続きビジネスアプリケーション&プラットフォーム(BAP)の組織を率いるほか、Guthrie氏のクラウド+AIリーダーシップチームに加わり、Guthrie氏の直属となることを発表したようだ。今後もEric Boyd氏はAIプラットフォームの組織、Rohan Kumar氏はAzure Dataの組織のリーダーを務める。両氏もクラウド+AIリーダーシップチームに参加し、Guthrie氏の直属になるという。
Guthrie氏は、対話型AIベンダーNuance Communicationsを同氏が統括する部門にどう統合するかという計画についても、さらなる詳細を説明したとみられる。Microsoftは3月、197億ドル(約2兆1600億円)におよぶNuanceの買収を完了した。NuanceのCEO、Mark Benjamin氏は同職にとどまり、Guthrie氏の直属となるとされていた。
Microsoftは、MicrosoftとNuanceでファーストパーティーのヘルスケア製品を統合するため、Microsoftのヘルス&ライフサイエンスエンジニアリングチームをBenjamin配下のNuanceのR&D組織に移しているようだ。Nuance Enterpriseの事業と製品マネジメントはLamanna氏配下のビジネスアプリケーション&プラットフォーム(BAP)組織に移行する。両社が発表した共同のコンタクトセンターの取り組みに合わせた動きのようだ。
(LinkedInやGitHubのケースとは異なり、Microsoftは従来の統合により近い形でNuanceとの連携を進めているようであるのは興味深い。LinkedInとGitHubは、人材やチームがMicrosoftの既存組織に統合されるのではなく、より独立した部門として運営されている)。
Guthrie氏は今回の再編の一環として、IoTとエッジのエンジニアリングチームの統合についても明らかにしたという。「『Azure Arc』『Azure Stack』『Azure Edge Zones』などで行っている取り組みやIoTとのシナジーを進化させる」としている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。