マイクロソフト、組織再編で1.5万人規模の"デジタル変革プラットフォーム"部門立ち上げか

Mary Jo Foley (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2021-03-22 12:23

 Microsoftは3月に入り、社内に向けて、エグゼクティブバイスプレジデントScott Guthrie氏が率いるクラウド+AIグループの内部で組織再編を行ったことを発表したという。今回の組織再編は、少なくとも部分的には、コーポレートストラテジーおよびコアサービスエンジニアリング&オペレーション担当エグゼクティブバイスプレジデントのKurt DelBene氏が6月に退職する予定であることと関連しているようだ。一方で今回の組織再編には、「Dynamics ERP」や「Dynamics CRM」、人工知能(AI)、IoT、データプラットフォーム製品などの「Microsoft Cloud」を構成する多くのピースを1つにまとめるという意味合いもあるとみられる。

Microsoft
提供:Microsoft

 筆者が知る限り、米国時間3月11日の組織再編は経費削減やレイオフの準備のためではなく、トップ人事に関するもののようだ。

 トップレベルでは、2人の主要幹部を中心にさまざまなチームを配置換えした。その2人とは、James Phillips氏とAndrew Wilson氏だ。これまでビジネスアプリケーショングループ(「Dynamics」や「Power Platform」)を率いていたJames Phillips氏は、先週時点で新しいデジタルトランスフォーメーションプラットフォームグループのプレジデントになっている。部署名に「デジタルトランスフォーメーション」が付いたほかの多くの部署とは異なり、このグループは実際に製品の開発と提供を行うようだ。Phillips氏は、「Dynamics 365」「Power Platform」「Azure AI Platform」「Azure Data Platform」「Azure IoT Platform」や、増え続けるMicrosoft Cloudの業界向けソリューションを担当する1万5000人の社員を率いる。

 Phillips氏は2012年に、当時MicrosoftのCloud and Enterprise部門のプレジデントだったSatya Nadella氏の戦略アドバイザーとして同社に入社した。それ以前は、NoSQLデーターベース企業のCouchbaseの共同創業者で最高経営責任者(CEO)を務めていた。

 Andrew Wilson氏はMicrosoft Digitalを統括するようだ。Wilson氏はAccentureの元最高情報責任者(CIO)で、その後Microsoftの最高デジタル責任者を務めていた。Microsoftは1月に、Wilson氏をコアサービスエンジニアリング部門の責任者に任命すると発表している。この部門は、同社の約17万人の従業員を支える社内ITサービス部門だという。

 Phillips氏とWilson氏の直属の上司は、どちらもGuthrie氏になる。エグゼクティブプレジデントのJason Zander氏は、引き続き「Azure」のコアインフラを統括する。AzureのPlatform as a Service(PaaS)のツールはMicrosoftのDeveloper部門に移り、コーポレートバイスプレジデントのJulia Liuson氏が統括する。Azureの開発者エクスペリエンス担当バイスプレジデント(PaaS、サーバーレス、API管理、オープンソースに対する投資などを扱う)であるGabe Monroy氏は、Liuson氏の直属だという。

 筆者がMicrosoftに組織再編のさらなる詳細について尋ねたところ、広報担当者は、再編があった事実は認めたものの、詳しい情報は明らかにしなかった。

 Microsoftは最近のイベントや業績発表カンファレンスコールで、同社は世界最大規模のパブリッククラウドプロバイダーだとする主張を明示してきたようだ。同社の主張は、「Azure」「Microsoft 365」「Dynamics 365」や、その他の「商用クラウド」の資産を1つに合わせたものに基づいている。同社は、「Microsoft Cloud」という名称の製品を持っているわけではない。しかし、今回の組織再編は、市場におけるMicrosoft Cloudの位置づけを固めるための一歩になるかもしれない(Microsoftの最近の「Ignite」カンファレンスで提示されたスライドのような形だ)。

 Microsoftはまた、DynamicsとPower Platformの事業を強化する意思を見せているようだ。そのための1つの方法が、これらの製品をMicrosoft 365や「Teams」、GitHub、IoTなどのMicrosoftのほかのサービスと統合することなのだろう。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    Pマーク改訂で何が変わり、何をすればいいのか?まずは改訂の概要と企業に求められる対応を理解しよう

  2. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  3. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  4. セキュリティ

    2025年はクラウドを標的にする攻撃が増加!?調査レポートに見る、今後警戒すべき攻撃トレンド

  5. セキュリティ

    最も警戒すべきセキュリティ脅威「ランサムウェア」対策として知っておくべきこと

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]