Microsoftは3月に入り、社内に向けて、エグゼクティブバイスプレジデントScott Guthrie氏が率いるクラウド+AIグループの内部で組織再編を行ったことを発表したという。今回の組織再編は、少なくとも部分的には、コーポレートストラテジーおよびコアサービスエンジニアリング&オペレーション担当エグゼクティブバイスプレジデントのKurt DelBene氏が6月に退職する予定であることと関連しているようだ。一方で今回の組織再編には、「Dynamics ERP」や「Dynamics CRM」、人工知能(AI)、IoT、データプラットフォーム製品などの「Microsoft Cloud」を構成する多くのピースを1つにまとめるという意味合いもあるとみられる。
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筆者が知る限り、米国時間3月11日の組織再編は経費削減やレイオフの準備のためではなく、トップ人事に関するもののようだ。
トップレベルでは、2人の主要幹部を中心にさまざまなチームを配置換えした。その2人とは、James Phillips氏とAndrew Wilson氏だ。これまでビジネスアプリケーショングループ(「Dynamics」や「Power Platform」)を率いていたJames Phillips氏は、先週時点で新しいデジタルトランスフォーメーションプラットフォームグループのプレジデントになっている。部署名に「デジタルトランスフォーメーション」が付いたほかの多くの部署とは異なり、このグループは実際に製品の開発と提供を行うようだ。Phillips氏は、「Dynamics 365」「Power Platform」「Azure AI Platform」「Azure Data Platform」「Azure IoT Platform」や、増え続けるMicrosoft Cloudの業界向けソリューションを担当する1万5000人の社員を率いる。
Phillips氏は2012年に、当時MicrosoftのCloud and Enterprise部門のプレジデントだったSatya Nadella氏の戦略アドバイザーとして同社に入社した。それ以前は、NoSQLデーターベース企業のCouchbaseの共同創業者で最高経営責任者(CEO)を務めていた。
Andrew Wilson氏はMicrosoft Digitalを統括するようだ。Wilson氏はAccentureの元最高情報責任者(CIO)で、その後Microsoftの最高デジタル責任者を務めていた。Microsoftは1月に、Wilson氏をコアサービスエンジニアリング部門の責任者に任命すると発表している。この部門は、同社の約17万人の従業員を支える社内ITサービス部門だという。
Phillips氏とWilson氏の直属の上司は、どちらもGuthrie氏になる。エグゼクティブプレジデントのJason Zander氏は、引き続き「Azure」のコアインフラを統括する。AzureのPlatform as a Service(PaaS)のツールはMicrosoftのDeveloper部門に移り、コーポレートバイスプレジデントのJulia Liuson氏が統括する。Azureの開発者エクスペリエンス担当バイスプレジデント(PaaS、サーバーレス、API管理、オープンソースに対する投資などを扱う)であるGabe Monroy氏は、Liuson氏の直属だという。
筆者がMicrosoftに組織再編のさらなる詳細について尋ねたところ、広報担当者は、再編があった事実は認めたものの、詳しい情報は明らかにしなかった。
Microsoftは最近のイベントや業績発表カンファレンスコールで、同社は世界最大規模のパブリッククラウドプロバイダーだとする主張を明示してきたようだ。同社の主張は、「Azure」「Microsoft 365」「Dynamics 365」や、その他の「商用クラウド」の資産を1つに合わせたものに基づいている。同社は、「Microsoft Cloud」という名称の製品を持っているわけではない。しかし、今回の組織再編は、市場におけるMicrosoft Cloudの位置づけを固めるための一歩になるかもしれない(Microsoftの最近の「Ignite」カンファレンスで提示されたスライドのような形だ)。
Microsoftはまた、DynamicsとPower Platformの事業を強化する意思を見せているようだ。そのための1つの方法が、これらの製品をMicrosoft 365や「Teams」、GitHub、IoTなどのMicrosoftのほかのサービスと統合することなのだろう。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。