コンテンツ配信ネットワーク(CDN)などを手掛けるCloudflareは米国時間6月14日、前週に発生し、過去最大規模となった分散型サービス拒否(DDoS)攻撃に対処したと発表した。この攻撃は、わずか5067台のデバイスで構成された、小規模だがパワフルなボットネットによって実行され、ピーク時のリクエスト件数は1秒あたり2600万件に達したという。
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Cloudflareによると、今回の攻撃は他のDDoS攻撃、すなわちウェブサイトに対して大量のジャンクトラフィックを送りつける攻撃のように、制御を奪い取った低帯域幅のIoT機器を用いたものではなく、クラウドサービスプロバイダーの機器を利用したものだったという。
同社は、今回の攻撃トラフィックがクラウドプロバイダーのインフラから発生している点から見て、より帯域幅の大きな仮想マシンやサーバーが乗っ取られたと考えられるとしている。
この攻撃は、同社が4月に対処、軽減したDDoS攻撃と同様、ウェブプロトコルのセキュアなバージョンであるHTTPSを介していた。同社が説明しているように、HTTPSを用いたDDoS攻撃は攻撃者と被害者の双方にとってよりコストがかかる。というのも、インターネット上の2点間を接続する際に用いられるTLS接続は、暗号化処理のためにより多くの計算資源を必要とするためだ。なおCloudflareは、SSL/TLSの証明書をウェブサイトの所有者に提供するサービスも実施している。
今回の攻撃で標的となったのは、DDoS攻撃に対する保護と、CDN、SSL証明書を提供する、Cloudflareの無料プランを使用している顧客だ。同社が公開したグラフを見ると、攻撃は2分弱続き、ピークに達した後は10秒ほどで下火になっている。
Cloudflareの製品マネージャーであるOmer Yoachimik氏は同社ブログに、「われわれは(暗号化されていない)HTTPを介した大規模攻撃を過去に目にしているが、今回の攻撃は、攻撃に必要となるリソースの規模という点で際立っている」と記している。
この「小規模だが強力」なボットネットは5067台のデバイスで構成されており、各ノードは平均すると1秒あたり5200件のリクエストを生成していた。そして30秒間に、120カ国の1500超のネットワークを介して2億1200万件のHTTPSリクエストを生成していた。これは、Cloudflareが追跡している別のボットネットよりもはるかに強力なものだ。そのボットネットは73万台のデバイスで構成されており、デバイスあたり平均1.3件のリクエストを生成する。
同社は、「要するに今回のボットネットは、仮想マシンとサーバーを用いているため、4000倍も強力なものとなっていた」と述べた。
この分散型攻撃におけるトラフィックの発生源となった国として、インドネシアと米国、ブラジル、ロシアが上位に挙げられている。
Cloudflareの顧客に対する攻撃として過去2番目に大きいものは2021年7月に発生しており、ピーク時のリクエスト件数は1秒あたり1720万件だったとされている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。