旭化成は、同社の人財戦略「終身成長」の実現に向け、国内グループ全社の約2万人の従業員を対象に、オンライン学習サービス「Schoo」を導入した。同サービスを展開するスクーが1月25日に発表した。
旭化成は社内向けに、独自の学習プラットフォーム「CLAP(Co-Learning Adventure Place)」を提供している。外部のe-ラーニングサービスとの連携により、従業員は約1万1500本のコンテンツから、自身のニーズや関心に合わせてプログラミングやマネジメント、リベラルアーツなど、幅広い知識を学ぶことができるという。個人での利用に加え、マネジメント層が組織の課題を基に学習テーマを設定し、組織全体で共同学習を行うケースもある。
今回のCLAPとSchooの連携により、旭化成の従業員はCLAP上で約8000本の学習コンテンツを新たに閲覧できるようになる。
人的資本経営の重要性が高まる中、企業が人材育成を強化し、従業員一人一人の長期的なキャリアを支援する動きが高まっている。旭化成でも2022年春に発表した新中期経営計画における人財戦略として「終身成長」を掲げ、各従業員が人生の目的を持ち、自律的にキャリアを考えて成長し続けることを支援している 。
その背景には、時代と共に変化する社会課題に挑戦し続け、ポートフォリオを絶えず変革するためのイノベーション創出が求められていることや、各事業/職種に求められるスキルが多様化・高度化していることがある。こうした状況を踏まえて同社は、従業員一人一人の志向やニーズに応じた専門性の強化と自律的なキャリア形成の支援を行うことを決定し、学ぶ組織風土の醸成に向けてCLAPを構築した。
スクーはこれまで、約2800社においてリスキリングの支援を行ってきた。約8000本の学習コンテンツは、ビジネスやITスキルをはじめ、思考術やリベラルアーツなど、幅広い領域を網羅しているという。経験や知見の異なる多様な従業員のニーズを満たし、“新たな知”との出会いが期待されるとし、SchooとCLAPの連携に至ったと説明する。
導入に向けて両社は、旭化成のグループ企業1社でトライアル利用を実施。2022年8月から4カ月間、35歳以下の従業員にSchooを提供した。個人学習のほか、社内で複数のイベントを開催し、従業員同士の学び合いも検証した。
両社は毎月、「学習に満足した」「行動が変化した」「個人の成果が出た」「組織の成果が出た」という4つの項目についてアンケートを実施。「学習に満足した」と回答した割合は60%で、「個人の成果が出た」と答えた割合は、トライアル開始当初の30%台から3カ月後には49%まで増加した。そのほか、同僚の学ぶ姿勢が学習へのモチベーションにつながる傾向も見られたという。
旭化成 人事部 人財・組織開発室に所属し、CLAP推進プロジェクトのプロジェクトマネージャー(PM)も務める三木氏は、Schooの導入やトライアルについて、次のようにコメントしている。
「自律的な学びをどう促進するかが課題だった。トライアルでは当社とスクーのメンバーが一緒になって議論し、効果的なレコメンド方法や“みんなで学ぶ”イベントの企画などにおいてさまざまな検討や試行錯誤を行い、導入効果と多くの知見を得ることができた。CLAPが本格的に始動し、今後は従業員が楽しみながら挑戦と成長を実現できる組織文化の強化に向けて、さらなる知恵と試行錯誤が必要である」