サイバーセキュリティ連盟(Cyber Security Alliance)は3月24日、調査レポート「サイバーセキュリティマインド」を発表した。経営者・役員、本部長・部長、課長、係長・主任、一般層にサイバーセキュリティに対する意識を聞いたもので、これによると現場の管理職に相当する職位層ではサイバーセキュリティ対策の必要性を感じているという回答が多かったものの、経営者・役員層では38.0%、一般層の53.2%が必要性を感じていないと回答した。
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「サイバーセキュリティ対策をしていない理由」について最も回答が多かったのは、経営者・役員層で「サイバー攻撃に遭う可能性が低いと考えている」が27.6%、本部長・部長層で「どのように備えなければならないのか分からない」「権限がない/実施していない理由が分からない」が同率の16.7%、それ以下の層では全て「権限がない/実施していない理由が分からない」が最多で、一般層では60.4%に達した。
調査結果を解説したサイバーセキュリティクラウド 経営企画部 部長の西澤将人氏は「経営トップから一般社員まで、それぞれで意識改革が必要」だと指摘し、当事者意識が薄いことが問題だとの認識を示した。さらに比較的若年者の多い一般層については、「デジタルネイティブ世代であるが故に、デジタルに慣れ親しんでいることから恐怖感もないのではないか」と推測している。
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サイバーセキュリティ連盟は同日、一般社団法人化を発表した。設立登記は3月31日となる予定。前進となるセキュリティ連盟はセキュリティに課題感を持つ企業34社が結集して2022年2月に設立、1年間で加盟社数170社に成長したこともあって一般社団法人に体制変更した。
小池敏弘氏
サイバーセキュリティ連盟の代表理事を務めるサイバーセキュリティクラウドの代表取締役社長で最高経営責任者(CEO)の小池敏弘氏は、その経緯について「DX(デジタルトランスフォーメーション)が加速する一方でサイバーセキュリティ対策はまだまだ足りていない」という認識を示し、「サイバーセキュリティに対する意識を変えたい」とした。
西澤将人氏
同氏によると、サイバーセキュリティ連盟は「サイバー攻撃による『深刻な被害』をゼロに」をビジョンに掲げ、「日本のDXをもっと安全に」をミッションとする。その上で、「当事者中心」「生々しさ」「横のつながり」の3つのバリューを提供するとしている。セキュリティ業界団体だけではなく、当事者となる一般企業が意識を高めていく集まりであり、事務的な連絡よりも生々しい声を当事者間の横のつながりで共有していく場を目指すという。
今後の活動計画としては、セミナーの開催やツールを用いたコミュニティー作り、会員限定イベントの開催などを予定しており、3年後には「DXに関連したサイバーセキュリティの国内最大級のコミュニティーの形成」を目標とする。