アメリカを代表する「ブラック企業」とされるディッシュ・ネットワークがクリアワイヤに買収を提案(画像の出典:Dish Network)
米衛星テレビ放送第2位、加入者数約1400万世帯のディッシュ・ネットワークがクリアワイヤに買収を提案したというニュースは、昨日の朝方に衝撃をもって報じられた。
クリアワイヤと言えば、スプリントに自身を売却することで合意していた通信会社、詳しくは下掲の記事を参照してほしい。
しかし、スプリントは、スポンサーのソフトバンクが指示した上限に収まる金額で買収の同意を取り付けていた。スプリントだけでなく、同意したクリアワイヤにとっても、まさに「横槍を入れられた」格好である。
ディッシュについては、ソフトバンクの米国進出を解説したコラムの中でも一度触れている。今回は、このディッシュに関する別の話を紹介したい。
「従業員にとって最低の会社」
普段からたくさんのニュースを目にしていると、時には「なんで今、この話題が記事になっているのだろう?」と首をかしげざるを得ないものに出会うことがある。正月2日、米国では新年の稼働第一日目にBusinessweekで公開されたディッシュ・ネットワークの記事もそんな首をかしげる話のひとつであった。
「ディッシュ・ネットワーク、米国でいちばん意地悪な会社」と題されたこの記事、そのタイトルが示す通り、従業員の扱いのひどさや、創業者で大株主のチャーリー・アーゲンの暴君ぶりを、なかば面白がり、なかば呆れながら描いた内容で、いってみれば「こんな変わり者の経営する会社が、驚くことに、ここまで大きな企業に成長した」という批判と賞賛がない交ぜになった書き方で綴られている。
この点において、New York Timesがフォクスコンの工場の実態を伝えた時のような、どこか「糾弾」という語が想起される記事とは大いに異なる。なお、24/7 Wall St.というサイトが「(従業員にとって)最低の会社ランキング」をまとめた、という冒頭の下りは、昨年8月に掲載された別の記事の焼き直し。こちらの記事タイトルは「ディッシュとフォクスコン、どっちの仕事がひどい?」で、どちらの記事にも自殺や事故など本当に深刻な例は出てこない。その点でもなかば面白がっているような感じがしてしまう。
さて、見事「最低の会社ナンバーワン」に選ばれたディッシュの実態を見ていこう。