塩野義製薬では10年以上前に構築したレガシーシステムを全廃し、オープンシステムへ移行することを決定した。だがプロジェクトの途中で、業務単位で導入したパッケージの連携に想像以上の工数がかかることが判明した。さらにインタフェース開発コストは、今後も増加の一途を辿ると見られる。TCO削減のため同社では、データ交換基盤の導入を決断。ビーコンITのETLツールを採用し、従来の3分の1のコストでシステム連携を実現した。
ホストからオープン系に移行しようと考えている企業は後を絶たない。ハードのコストやソフトの選択の柔軟性、特定メーカーへの依存形態からの脱却、2007年問題や保守の期限切れといった心配からの開放など、多大なメリットを享受できるからだ。
その一方で、ホストシステムならばあまり考慮する必要がなかった問題が、現出してくるケースもある。
たとえば、システム連携の問題が挙げられる。ホストのマイグレーションでは、複数の業務機能を一手に引き受けていたホストを、業務単位あるいはプロセス単位に分割する必要がある。
当然、システム相互の連携を考慮しなければならない。そしてそこの部分は、自分達で考えざるを得ない。
もちろん、大規模ERPパッケージでホストをそっくり置き換えてしまう手もある。だがそれが可能なのは、一部の巨大企業に限られる。大多数の企業は、海外製ERPや国産の業務パッケージ、あるいは自社開発のソフトを組み合わせて企業システムを構築するというのが現実的な取り組みだろう。
塩野義製薬もそうした1社だ。ホストのリプレースに際して、さまざまなパッケージを検討。その結果、異種システム混合のスタイルを選択した。それは同時に、インタフェース開発との戦いの始まりを意味していた。
以下、同社のホストマイグレーション・プロジェクトを探る。
塩野義製薬のレガシーシステムは、新しいものでも10年、古くは20年以上も稼働しており、変化への対応力や最新技術のフォローなどの面で、限界を迎えていた。それを一挙に刷新し、同時にBPRを実施。業務効率の向上を目指そうというのが、今回のプロジェクトの目的だった。
塩野義製薬システム導入範囲は、生産管理と会計、人事、販売・物流、顧客管理と広範囲にわたる。これだけの規模のシステムを、またいちからスクラッチ開発するなどあり得ない。当然、ERPをはじめとするパッケージの導入が前提となった。
だが、パッケージの種類はあまりに多く、どれに決定すればよいか、簡単には決められなかった。
そこで、個別業務ごとに担当者の意見を聞きながら、さまざまな製品を比較検討していった。
塩野義製薬今回のプロジェクトで「要」となるのが、企業の根幹を支える生産管理と、経営に不可欠な会計だった。そして、この2業務については、独SAPの「R/3」が十分な機能を持っていると判断された。
そしてR/3ならば、今回の対象となっているほかの業務分野もほぼカバーしている。では、R/3のビッグバン導入で決まりなのか?
現実は、それほど簡単には進まなかった。細かな機能をチェックしていくと、「すべてを単一パッケージでまかなうのは困難」(情報システム部 野添照男課長)に見えた。
会計は、基本的にグローバル・スタンダードが確立されているため、パッケージに合わせるのは難しくない。また生産管理も、作業手順やプロセスを変更すれば、なんとかERPを適用できると考えられた。
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