今朝サンフランシスコで、Open Source Business Conferenceが始まった。会場には、IT関連の法人顧客やベンダー、法律家、ベンチャーキャピタリストなど、オープンソース市場での戦略について考えようとするさまざまな人たちが詰めかけていた。
MedsphereのCEO、Larry Augustinは基調講演のなかで、オープンソースソフトウェア開発の次の可能性は、間違いなくアプリケーションの分野にあると述べた。Augustinは成功例として、sugarCRM、Compiere、Asterisk、VistA(民間でこの技術を最初に導入したのが同氏の経営するMedsphere)の4つのモデルを挙げた。これらはそれぞれ別のカテゴリを代表する例だが、Augustinはこの4つに共通する以下6つの項目を並べ、オープンソースにとってチャンスがありそうな分野を見つけだす手がかりとした。
- 従来は膨大な投資が必要で、実装作業に何年もかかるとされていた大規模なアプリケーション--CRM、ERP、EHR (electronic health records:電子カルテ)など。
- 導入時に高額なライセンスコストが必要で、簡単には導入できないプロプライエタリなソフトウェアを販売する大手のライバルがいること。
- 熱心なユーザーがたくさんいるソフトウェアであること(ユーザーや市場に対して、自社の業務内容に関する啓蒙活動にかける時間が少なくて済むため、営業面で有利になる)
- 熱心な開発者のつくる生態系があること。何らかの形でコミュニティに参加する人たちが必要である。
- エンタープライズ分野で大きなチャンスがあること。たとえば医療関連のIT市場は、2007年までに250億ドル規模に達するという。
- 中小企業向けビジネスの大きな市場があり、しかも開拓がまだ進んでいない分野であること。
Augustinはこのあと、オープンソースを牽引する次の波として、2つの要素を挙げた。その1つは開発者の関心で、同氏は新しいチャレンジの対象を探している次世代の開発者にとって、アプリケーション分野が格好の材料になると述べた。「彼らが新たにLinuxをつくり出すことはないだろう」(Augustin)。また、2つめの理由は、従来のエンタープライズソフトウェアのモデルが破綻していることで、具体的にはセールスに長い時間がかかる、高価である、中小企業には手が届かない、などの点を挙げた。同氏は、現在新規のライセンス売上のうち、76%に相当する金額がセールスやマーケティングコストとして使われていると述べ、ベンダー各社が顧客に対して、自社の製品を購入するよう説得する行為の代償として料金を請求していると皮肉った。
同氏は、この講演の締めくくりとして、オープンソースソフトウェアがプロプライエタリなエンタープライズソフトウェアに対して持つ長所をおさらいし、セールスにかかる時間が少ない、試験導入が必要でない、実装にかかる時間が短い、ライセンス料がほとんどかからない、そして開発に取り組む大規模なユーザーベースが存在する、などの点を挙げた。