John Fowlerは、Sun Microsystemsが扱うサーバの半分に関して、その将来を左右する人物だ。
Fowlerは同社で、Network Systems Groupのエグゼクティブバイスプレジデントとして、x86プロセッサ搭載サーバの販売を遅ればせながら促進するという、Sunにとって重要な戦略を指揮している。x86サーバの販売額は、Sunの収入のごく一部を占めるに過ぎないが、この市場全体はここ数年成長を続けている。そして、Sunはこの市場での売上増加を切望している。
Sunの主力商品である「UltraSparc」プロセッサ搭載サーバの売上は、IBMの激しい追い上げとLinuxの普及で大打撃を被っている。そのため、x86サーバは今や競合他社を出し抜きたいSunにとって鍵を握る存在になっている。同社はx86サーバ市場でのいくらかシェアを拡大し、現在6位につけている。同社の目標は2006年中に4位に上がることだ。
Sunがx86サーバを後押しし始めたのは、Intelプロセッサを搭載する汎用マシンにLinux OSを採用した2002年のことだった。また、2004年に同社は初めてのAdvanced Micro Devices(AMD)製Opteron搭載サーバを投入し、勢いに弾みをつけた。しかし、このシステムはSunの社外で設計されたものであり、冗長電源といった、ビジネスで要求される機能が付属していなかった。Sunは2005年10月に、同社の共同創業者であるAndy Bechtolsheimが設計した、独自のOpteron搭載サーバ(開発コード名「Galaxy」)を販売し始めた。
今年45歳になるFowlerは、ハードウェアメーカーの幹部に抜擢されるようなタイプからはやや外れている。同氏の経歴は、Sunのソフトウェア担当CTO(最高技術責任者)を2年務めた経験を含め、ソフトウェア分野が中心だ。Fowlerをx86サーバ責任者に推したのは、2004年にソフトウェア部門の責任者から社長に昇進したJonathan Schwartzだった。
FowlerはCNET News.comとのインタビューに応じ、Opteronは今後長きにわたってXeonよりも優位に立つという自身の考えを含め、さまざまな話題について語った。
--Sunにとっての2006年という年は、2005年と比べてどうなりそうですか。
AMDについてはもう何も説明するつもりはありません。それについては、去年いろいろと説明してきました。顧客のうち、企業顧客は既にそのメッセージを理解しています。それから、「x86ビジネスに取り組んでいるのですよね」とか「本気ですか」といった質問にも答えるつもりはありません。顧客は、われわれが本気でx86に取り組んでいることをわかっています。
--しかし、わずか数カ月前には、(Sunの社長である)Jonathan Schwartzなどの人々が、顧客はいまだにSunがx86サーバを扱っていることを知らないと発言していました。
Galaxyの発表は大がかりなものでした。われわれは、顧客の評価や認知度を調査していますが、その結果によると状況は改善しています。特に中小企業における認知度はさほど高くありませんが、これについてはより長期的なスパンで取り組んでいく予定です。一方、Fortune 200に名を連ねる大企業の大部分には認知されています。
2006年には一連の新製品を発売します。先ごろ発売した初のGalaxyサーバーはこの製品群の先陣を切るものです。今年は、より多くのラックマウント製品やブレード製品に、アーキテクチャーに関して共通する一連の構成要素が引き継がれていくわけです。
--Sunの設計では、より高速なOpteronプロセッサ(高速であるものの、その消費電力は標準のOpteronプロセッサが95ワットであるのに対し、120ワットとなっている)を用いています。今後も、高速なプロセッサのみを使用し続けることになるのでしょうか。
もちろんです。AMDはより高速なプロセッサを製造し続けるでしょう。われわれがOpteronを採用したのは、あるプロセッサ世代のうちでスピードグレードの高いものを使用するということ自体を目的としたからではありませんでした。スピードグレードの高いものを用いることで、処理速度に大きな違いが出るアプリケーションがあるからです。ソフトウェアのライセンス価格がとても高価な場合には、スピードグレードを高くすることによって、ソフトウェアの効率をさらに向上させることができるからです。
--8プロセッサ搭載システムとブレードシステムは別々に発表するつもりですか。
われわれはまだ、製品を発表するための最適なやり方を模索しているところです。
--ハイエンドのx86サーバはほとんどありません。8ソケットの巨大なx86サーバは購入に値すると、顧客を説得する必要があるのでしょうか。
その通りです。ただし、顧客の購入ライフサイクルが一巡してからです。最初に購入するのは、技術計算に携わっている人々や、Webサービスのインフラを構築しているような、典型的に新しいものを採用したがる人々です。これに対し、(ERPや意思決定支援システムの)利用者は購入までに時間がかかります。朝起きるなり、「Oracleデータベースを8ソケットシステム上で稼働させよう」と言うような人はいないのです。