5. コミュニケーションは会社でとる?それとも居酒屋で?
部下とのコミュニケーションのとり方も両者では異なっている。具体的には、コミュニケーションを取るために使う時間が、就業時間に含まれるか、含まれないかの違いだ。
8時間の就業時間の中で、できるだけ部下とコミュニケーションをとろうとするのは外国人上司で、日本人上司は就業時間を実務作業に使う傾向にあるそうだ。たしかに、フロアに大勢の人がいるのに、妙にしんと静かなオフィスは多い。そこで必然的にコミュニケーションの時間は、就業時間の外になる−−そう、たとえば仕事の後の飲み会だ。
しかし、昔は飲み会でのコミュニケーションを「飲みュニケーション」などといったが、最近はお酒を飲まない人が増えたせいか、あまり流行らないだろう。それどころか、ワークライフパランスの奨励もあって、仕事以外の時間は、家族や自分の趣味のために使おうとする人が増えている。本当に日本人は、飲み会で上司とコミュニケーションをとっているのだろうか?
飲み会でないなら、会議の席で闊達なコミュニケーションが交わされているのかといえば、そうでもないらしい。誰かは忘れたが、「アメリカでは意見をいう人が会議によばれるが、日本では意見をいわない人が会議によばれる」といった人がいた。そういわれれば、しんとした会議室の中で議事だけが淡々と進んでいく光景を何度も見た気がする。
6. 個人を見るか?組織を見るか?
先日、Appleの創設者で前CEOだったSteve Jobs氏が、病気のため56歳の若さで亡くなった。Appleのこれまでの成長は、Jobs氏の強烈なリーダーシップによるところが大きかっただけに、その死を悼むとともに、同社の今後の行く末を案じる声も多い。
しかし、トップの影響が大きいのは、Appleに限らない。海外の多くの企業の盛衰は、トップの経営手腕しだいだといわれている。そのため、人事や組織編成の判断は極めてドラスティックで、徹底してポジションに見合った人選を行う。そうしなければまたたくまに会社が潰れてしまうということもあるが、みごとなほどポジションと実力が均衡している。これはプロジェクトにおいても同様だ。
一方、日本では、だいぶ崩れかけてはきたものの、終身雇用制をベースに継続と安定をめざして創り上げられた企業システムが、いまだに大きな影響力を持っている。ただ、組織を重んじるあまり、個を生かしきれないこともあるようだ。
7. 成功を見るか?失敗を見るか?
例えば、ここに二人の人物がいるとしよう。一人は5つの成功プロジェクトを持っている。ただし、彼は同時に3つの失敗プロジェクトも持っている。そしてもう一人は、プロジェクトを一度も成功させたことがない。ただし、彼は失敗プロジェクトもゼロだ。さて、あなたならどちらの人材をプロジェクトメンバーに選ぶだろうか?
この場合、外国人上司であれば、迷わず成功実績の多い前者を選ぶ。しかし、日本人上司の中には「失敗ゼロ」を重視して後者を優遇する人も多いという。
成功を見るか、失敗を見るかで、考え方は大きく違ってくる。何度もチャレンジする人は、失敗もするが成功する可能性を持っている。失敗しないことは理想だが、そのために何もしなければ、成功する可能性もゼロになる。極度な「失敗ゼロの偏重」はプロジェクトを成功に導かない。さらに、これを繰り返していると、自律的行動は失われ、活力も削がれていく。これが、組織のトップである社長にまで伝播するようになると会社自体も重篤になる。
「無事之名馬(ぶじこれめいば)」という格言があるが、それは「失敗しないことがいちばん大事」という意味ではない。
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