環境に配慮したグリーンデータセンターで明るい未来を(前編)

文:Alex Serpo(ZDNet.com.au) 翻訳校正:川村インターナショナル

2008-06-16 08:00

 環境に対する意識の高まりを受け、一躍注目を浴びるグリーンIT。エネルギー効率の高いデータセンターは、環境の保護だけでなく、実は、企業が競争力を保ち、効率よくビジネスを運営することへとつながっている。エネルギー効率の向上を模索するデータセンターの今を2回に分けて、レポートする。今回はその前編。

 ITとデータセンターについて「グリーンである」というとき、それは、表面的には環境の保護に取り組んでいるということを意味する。しかし、実際のところは、コストに関する問題であり、グリーンであることは、いかに出費を抑えるかということなのである。

 企業のCIOは今、課題に直面している。よりパワフルなデータセンターに対する要望はつきることがないうえに、電力にかかるコストは増え続けている。このことと、ますます厳しくなる環境関連の法令をあわせて考えると、何が課題なのかが明らかになってくる。つまり、ITは、より少ない電力でより多くのものを成し遂げる必要があるのだ。

 2007年、市場調査会社のGartnerは、CIOやITマネージャーたちにとっての最優先事項はグリーンITであると発表した。さらにその1年前、Gartnerは、自らが主催する第25回Annual Datacenter Conferenceにおいて、2008年末までに世界の半数のデータセンターで電力が不足する状態に陥ると予測した。

 これは、データセンターが停電するという話ではない。ラック1つあたり30kW以上が必要となる可能性のある最新の高密度ハードウェアのエネルギー要件を満たすのに十分な電力を、データセンターが得られなくなるということなのである。また、こうしたラックを設置しているデータセンターでは、空調設備の増設が必要となり、さらに多くの電力を使用することになる。

 こうした問題に対処するため、(2006年に)「Green Grid」が組織された。Green Gridは、ITのエネルギー効率を向上させることを目指すグローバルコンソーシアムで、Advanced Micro Devices(AMD)、American Power Conversion(APC)、Dell、Hewlett-Packard、IBM、Intel、Microsoft、Sun Microsystems、VMwareなどがメンバーとなっている。

 Green Grid代表のWinston Bumpus氏は、「2006年には、米国の消費電力全体のうちデータセンターの消費分が1.5%で、2011年までには2.5%に増加すると予測していた。これは、発電所数カ所分の電力に相当する」とZDNet.com.auで語っている。

 Bumpus氏は、これは個々の企業レベルの問題にとどまらない経済全体に影響する問題であると述べている。「節約する方法を見つけださないまま消費電力を増やしていけば、成長することはできなくなり、IT業界の経済活動の阻害要因となるだろう」

データセンターのエネルギー危機を解決するには

 エネルギー効率に関する課題に対処するため、ハードウェアやソフトウェア、データセンターの設計を中心に、さまざまな技術革新がなされている。こうした技術革新の最たるものが仮想化だ。

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