VMware製品部門のシニアディレクター、Dan Chu氏は、ZDNet.com.auの姉妹サイトであるZDNet.co.ukのインタビューにおいて、世界全体で年間700万台のサーバが出荷されていることに触れ、「(こうした環境)全体で、サーバの利用率は平均5〜10%である」と述べている。このことは、仮想化によって、出荷サーバ数を大幅に減らせる可能性があることを意味する。
Chu氏は、仮想化により、サーバ数を10分の1はおろか、20分の1にまでも減らすことが可能だとしている。
データセンターの仮想化は普及が進んでいるが、仮想化のシナリオはChu氏が描くほど楽観的なものではないようだ。シドニーに拠点を置き、データセンターの設計を専門とする3iGroupでマネージングディレクターを務めるKris Kumar氏は、仮想化を「silent enemy(静かなる敵)」と称している。
Kumar氏のシナリオでは、仮想化により、サーバはその最大処理能力の10〜20%で稼働していた状態から、80%を超える割合で稼働するようになる。
「実際の消費電力で見てみると、かつて20Wで稼働していた最大消費電力300Wのサーバが、今では280Wで稼働している。サーバの設置面積は減るものの、より多くの電力が必要なる。そのため、設置面積あたりの消費電力が大幅に上昇してしまっているのである」(Kumar氏)。
データセンター会社であるDigital Senseは、最近、巨大エンジニアリング企業のEmersonと提携し、オーストラリアで最も高密度のデータセンターをクイーンズランド州の郊外にあるケンモアに建設した。Digital Senseのディレクター、Michael Tran氏は、このデータセンターで使われるエネルギーのほぼ半分が冷却用として使われていると推計し、仮想化された高密度のデータセンターで大量の熱が発生していることが示された、としている。
仮想化に加え、データセンター全体で種類も利用率も異なるハードウェアが使用されると、データセンターのフロアに「ホットスポット(熱だまり)」が生じる。データセンター中でホットスポットに対する応急処置がなされている状況だというのに、企業はなぜフロア全体を均一に冷却しようと考えるのかと、Tran氏は疑問を投げかける。