Oracleは、データベース製品の拡充を目指し、顧客データやトランザクションの迅速な処理を可能にするソフトウェアを販売する小規模企業TimesTenを買収した。
米国時間9日に発表されたTimesTenの買収は7月に完了する予定。買収金額は明らかにされていない。
TimesTenは、データ処理を「リアルタイム」で行うソフトウェアを販売する。製品の用途として、証券取引や電話料金の支払い処理などが挙げられる。設立9年目のTimesTenは、カリフォルニア州マウンテンビューに拠点を置く。Oracleによると、TimesTenの従業員90名の大半は、そのままOracleの社員になるという。
「TimesTenが力を入れているのは、 1000分の1秒を争うアプリケーションだ」とTimesTenの最高経営責任者(CEO)James Groffは電話会議で述べた。「TimesTenは、活動データすべてがコンピュータのメインメモリに格納されるデータベースに特化している」(Groff)
Groffは、TimesTenソフトウェアの使用例として携帯電話事業者を挙げ、利用者の残高や適正料金などの計算を通話中に複数行っていると説明する。同社の取引先企業数は約1500社にもぼる。
TimesTenは、Hewlett-Packard (HP)から分離独立した企業で、Intel 64 Fund(インテルのIA-64アーキテクチャをベースとする、革新的なアプリケーションを開発する企業への投資を目的として設立された投資基金)からの投資を受けている。同社は、Oracleとデータベース技術において既に協力している。たとえば、同社のデータキャッシュ製品はOracleのデータベースでのみ動作する。
Oracleは、TimesTenを買収することで、サーバのハードディスクでなく、メモリ上にデータを保存するツールを獲得することになる。メモリにデータを保存したりキャッシュしたりする技術は、データ処理に関する要求の厳しいハイエンド顧客から強く望まれているとOracleのデータベースサーバテクノロジー担当バイスプレジデンドAndrew Mendelsohnは説明する。
Mendelsohnは、TimesTen技術について、データベースサーバよりむしろ中間層の業務アプリケーションサーバ上で使われることが多いため、Oracleのデータベースを補完する役割を担うと述べた。
Oracleは、両社の2つのエンジニアリンググループを統合して、TimesTenの顧客をサポートする予定だ。Mendelsohnは、TimesTen製品の販売形態について、Oracleのデータベースやアプリケーションにバンドルされるのではなく、単体で販売されると述べた。
また、TimesTenのリアルタイムデータ管理ソフトウェアは、株の売り注文などのイベントをきっかけにプログラムを自動的に動作させる、アプリケーション間でのメッセージングソフトウェアとも連携する。一部のアナリストは、イベントベースのプログラミングモデルやソフトウェアは、今後、より一般的になると予測している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ