マイクロソフトは8月2日、技術者向けのセミナー・イベント「Microsoft Tech・Ed 2005 Yokohama」を開催した。期間は同月5日まで。日本での開催は今回で11回目となる。
8月2日のセミナーで注目を集めたのが、「Dynamic Systems Initiative(DSI)」と呼ぶ、マイクロソフトが提案する構想に関する説明だ。DSIは、企業内に分散する情報システムの複雑さを簡素化・自動化する技術である。
エンタープライズ・プラットフォーム本部エバンジェリストである高添修氏は、情報システム投資の7割を既存システムの保守運用が占めるという調査結果を挙げ、「企業の価値を創造するための新規システム開発が圧迫されつつある」と指摘した。
加えて高添氏は、TCO(情報システムの総所有コスト)の60%以上が人件費という別の調査結果も紹介。人件費が大きくなっている理由として、「約6割の情報システムは運用が自動化されておらず、手動で対応しているため」(高添氏)だという。
DSIは、情報システムを設計・開発してから実際に運用する段階までのすべてのライフサイクルで最適化を図る。DSIを適用して構築する情報システムは、人間が介入する場面をできる限り減らすことでコストダウンを実現する。
DSIの特徴は、以下の6つである。
(1)モデル駆動アーキテクチャと開発
(2)動的なリソース管理
(3)システムの自動展開と構成
(4)監視と自動応答
(5)分析可能なレポーティング
(6)システムで管理したフィードバック環境
(1)モデル駆動アーキテクチャと開発は、「モデル駆動アーキテクチャ(MDA)」と呼ぶシステム設計ツールを使い、システムの運用段階までを設計・構築する。(2)動的なリソース管理は、分散するCPUやメモリー、ストレージを仮想化し、システムにかかる負荷を調整する。(3)自動展開と構成は、複数のサーバやクライアントに基本ソフト(OS)を自動的に導入し、設定を施す。
(4)監視と自動応答は、情報システムの障害を管理者や監視ツールに通知するなど、管理タスクを自動実行する。(5)分析可能なレポーティングは、システムが吐き出すログを単に収集するだけではなく、複数のサーバが記録するログや稼働状況、アプリケーションの動作状況をを集約して運用担当者に報告する。(6)システムで管理したフィードバック環境は、実際にシステムを使うユーザーからのフィードバックを、電話や報告書などの形ではなく、システムが自動的に収集する仕組みである。
DSIを実現する要素は、開発環境「Microsoft Visual Studio 2005」やシステム管理ソフト「Microsoft Operations Manager」などすでに出荷されているものもあるが、「2005年から2009年にかけて順次出荷する」(高添氏)という。
高添氏と同じエバンジェリストの奥主洋氏は、DSIは、システムの開発担当者、運用担当者、エンドユーザーのすべてにメリットをもたらすと説明。「特に運用担当者に対しては、長期的視点に立った運用の効率化をもたらす。エンドユーザーに対しても、運用担当者に頼る度合いを減らし、自分自身で多くのことができるというメリットをもたらす」(奥主氏)。DSIのメリットがシステムに関係するすべての人に及ぶことを強調した。さらに、「DSIによって短期開発も可能になり、開発コストを削減できる」(奥主氏)ことで、経営層に対してもメリットをもたらすと説明した。
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