「Developers, Developers, Developers!」--MicrosoftのCEO、Steve Ballmer氏が叫んだ言葉として有名だが、そのBallmer氏と日本のDevelpers(開発者)の交流の場として、「マイクロソフト デベロッパー フォーラム」が11月9日、東京都内にて開催された。
デベロッパー フォーラムには、Microsoftが認定したMVP(Most Valuable Professional)やMCP(Microsoft Certified Professional)保持者に加え、同社のITベンチャー支援プログラムなどで選定したISV企業、理科系・情報系の大学生らが招待され、開発者が直接Ballmer氏に質問を投げかける時間も設けられた。
Ballmer氏は、未来のコンピューティングの世界について「テレビを見ていると、いきなりテレビからBill Gatesの声がして『今の場面どう思う?』と話しかけられることが近い将来あるかもしれない」と述べ、さまざまな変化が起こるだろうと語った。事実、Ballmer氏は以前開発者に対し、「将来ソフトウェアを通じて何が変わるか」を聞いたところ、70もの項目が挙げられたという。
このような幅広い視野を持つことは、「開発者にとって非常に大切なこと」とBallmer氏。良い開発者の条件について質問を受けたBallmer氏は、「何よりも、頭が良くて細かい部分に気が付く人であること。しかし、こうした条件に加え、大きな視点で物事をとらえられるようであればすばらしい。たいていの開発者は、細かいことは見えるのに、大きな部分が見えない人が多い。一歩うしろにさがって物事を見ることも大切だ」と述べた。
そう答えるBallmer氏自身は、「細かいことに気が付くタイプではないので、開発者としてのキャリアを選択することは断念し、大きな部分を見る役目を選んだ」という。
また、コンピューティングの世界が、「エンタープライズコンピューティングからPCコンピューティング、モバイルコンピューティング、さらにはウェブコンピューティングまで、すべて集約されていく」(Ballmer氏)という中で、今後開発者はビジネスからコーディングまでさまざまなことを学び、マルチタスクになるべきなのかという質問も出たが、Ballmer氏は「それぞれ皆が違った得意分野を持っているし、それぞれの分野で必要なスキルも違う。今も、ユーザーインターフェースを作っている人とコードを書いている開発者は別々だ。このように分業はこれからも進むだろう」と述べた。
ソフトウェア技術においては、米国に比べると日本はどうしても遅れを取っているように見える。こうした不安を投げかける開発者に対しBallmer氏は、なぜソフトウェア産業では米国が優位に立つのか、その理由を3つ述べた。1つ目は、米国の教育システムがコンピュータサイエンスやエンジニアリングにフォーカスしていること。2つ目は、米国のソフトウェア消費量が世界で一番大きいことだ。Ballmer氏は、米国は日本と比べて人口が2倍でしかないにもかかわらず、1年間に売れたPCソフトが日本の4倍以上であることに触れ、「ソフトウェアはできるだけ顧客の近くで提供したいもの。つまり、顧客の多い場所に開発者(会社)が集まっているのだ」と説明した。そして3つ目の理由として同氏は、開発者の国際共通言語がほぼ英語になっており、英語を話す国の開発者が情報収集や開発の迅速さにおいて有利であることを挙げた。
ただ、Ballmer氏は、「日本の技術を過小評価してはいけない。ゲームや家電などの分野では、日本の技術が海外で数多く使われている」と述べ、日本の開発者にエールを送った。
こうして直接開発者と交流する場を持ったBallmer氏は、最後にやはり「Developers, Developers, Developers!」と叫んで会場を後にした。
デベロッパー フォーラムの模様は、後日マイクロソフトのMSDNサイト上で、ウェブキャストとして公開される予定だ。