「それを作れば人はやってくる」というのは、映画「フィールド・オブ・ドリームス」で主人公が聞く天の声だが、作ればそれで十分だとは限らない。自らのサービス基盤をもとに、他の人に何かを作ってもらうことが必要な場合もある。
Googleが「Gmail」で取り組んでいるのは、まさにそういうことだ。「Google Apps」の利用者は今後、Gmailの機能を取り込んださまざまなサードパーティーのアプリケーションを追加可能になる。
Google Apps機能拡張の製品マネージャー、Chandrashekar Raghavan氏は米国時間5月18日付のブログで次のように説明している。「本日から、サードパーティーの開発者はGmailのコンテキストガジェットを開発し、『Google Apps Marketplace』で配信できる。こうしたガジェットはソーシャルネットワーク、ビジネスサービス、ウェブアプリケーションといったシステムからの情報を表示する機能を持ち、ユーザーはこうしたデータとGmail内でそのままやりとりできる」
Gmailは着実に利用を伸ばしているが、ウェブをベースとした電子メールの既存2大勢力、「Yahoo Mail」と「Hotmail」との競争に直面している。Yahoo MailはPayPalやFacebookなどが使えるアプリケーションを新機能として取り入れている。また、MicrosoftもHotmailのてこ入れに取り組んでいる。
一方でGmailは、企業顧客については、「Exchange」や「Outlook」といった旧来型の企業向けサービスにも目を配る必要があり、オンラインサービスをそろえたGoogle Appsスイートが最も直接的に競争しているのはこの分野だ。Gmailのコンテキストガジェットは、同社の汎用電子メールサービスに特定の生産性ツールの機能を追加する試みの一例といえる。
Google Appsの管理者は、コンテキストガジェットをユーザー向けにインストールでき、インストールされたアプリケーションは適切な場面で電子メールの本文内に表示される。たとえば「AwayFind」では、特定の送信者やトピックを設定すると、その条件に合う緊急の電子メールが来た時にショートメッセージなどで通知してくれる。「Pixetell」では、ビデオメッセージをプレビューしてコメントを付けることができる。「Gist」は、送信者に関するデータをウェブから収集できるサービスだ。
Googleの哲学の1つはウェブ上にリッチアプリケーションを構築するというもので、これは19日に始まったGoogle I/Oカンファレンスのテーマでもあり、Gmailはその典型例の1つとされている。しかし、Gmailに外部プログラマーの開発基盤という位置付けを与えることは、1つの一般的なアプリケーションとしての役割を超えた、大きな1歩といえるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ