UPDATE Microsoftはこれまで、ウェブ標準であるハイパーテキストマークアップ言語(HTML)の新バージョン策定作業の多くをAppleやGoogle、Opera Software、Mozillaに任せてきたが、ここへきて本格的な取り組みを開始した。
この動きは、HTMLを刷新する作業に強い影響力を加えるものだ。HTMLは、ウェブページの記述に用いる標準で、前回は1999年に正式に更新された。Microsoftは米国時間8月7日に投稿したメーリングリストの中で、現在の提案に対し多数の疑問や懸念を提示した。
「Internet Explorer」(IE)担当プログラムマネージャーのAdrian Bateman氏は、投稿メッセージの中で次のように述べた。「今後の活動に関する当社の計画の一環として、IEチームはHTML 5の仕様に関する現行の『Editor's Draft』を検討し、われわれの考えをまとめているところだ。われわれは、こちらからのフィードバックをワーキンググループと共有し、これについて議論したいと思っている。私は、われわれが考えをまとめる過程で覚え書きを公開する予定なので、当方の考えをより迅速に再検討できるだろう。現段階において、われわれは回答より多くの疑問を持っているが、これらを公の場で議論することが前に進む最善の方法だと信じている」
現在ドラフト段階にあるHTML 5は、数多くの重要な進歩を実装しており、静的なウェブページだけでなく、アプリケーションにとっての基盤としてもウェブを改善する複数の進歩を盛り込んでいる。現時点におけるHTML 5の機能の中には、組み込み型の動画や音声、ローカルコンピュータにデータを格納することによりオフライン時でもウェブアプリケーションの使用を可能にする能力、ウェブアプリケーションの反応を停止させることなくバックグラウンドで演算処理を行える「Web Workers」、洗練された二次元グラフィックスを作成する「Canvas」、よりよいウェブアプリケーション向けユーザーインターフェースのためのドラッグアンドドロップなどがある。
正式なHTML標準は、World Wide Web Consortium(W3C)の監督下にあり、MicrosoftのChris Wilson氏がHTMLを開発するW3Cグループの共同会長を務めている。だが、HTML 5の策定作業の多くはこれまで、Web Hypertext Application Technology Working Group(WHATWG)と呼ばれる別の取り組みにより、外部で進められてきた。WHATWGは、XHTML 2.0においてW3Cが進めようとしていたHTMLの方向性に不満を抱いた複数のブラウザメーカーが数年前に立ち上げた組織だ。
Microsoftは、HTML 5にまったく関与していなかったわけではない。同社は、ブラウザを使用するユーザーがウェブページの特定要素を編集できるHTML 5の技術「contentEditable」の開発元だ。Microsoftによれば、同社の最新ブラウザ「Internet Explorer 8」(IE8)もまた、DOMストレージ、ドキュメント間メッセージング、ドメイン間メッセージング、AJAXナビゲーションといったHTML 5の構成要素をサポートしているという。