国際標準の電子書籍フォーマットとして認知されつつある「EPUB」。XHTMLとCSSを中心に構成される既存ウェブ技術とも親和性が高いフォーマットだが、使いやすい生成ツールは意外なほど少数だ。5月11〜13日に開催された第19回ソフトウェア開発環境展(SODEC)にて、Wordアドオンの形で実装されたePub生成ツール「Word 2 ePub」を開発したデジタルコミュニケーションズ代表取締役の福重青史氏に、開発の経緯や今後の展開を聞いた。
--Word 2 ePubを開発した経緯を教えて下さい。
弊社では、従来よりWordなどのアプリケーションからXMLを生成する製品群を提供してきました。そのうちの1つ、「Word2WEB」という製品にはW3C準拠の純正XHTMLを生成する機能が実装されていますので、EPUBにも容易に対応することができました。その“Web”を“EPUB”に置き換え、EPUB専用の製品として再構成し発表したところ、かなりの反響をいただくようになりました。
--Word 2 ePubの強みを教えて下さい。
EPUB規格に準拠したファイルをWordから直接生成できますから、ノウハウを持たない個人の著者であっても、EPUBを生成できます。iPadを例にすると、Word 2 ePubで生成したEPUBファイルをiTunesに登録し、iPadへ転送すれば、EPUBリーダーであるiBooksで読むことができます。
--日本語のサポートはどうなっていますか。
日本語の本文は、問題なくEPUBに変換できます。ルビについては、CSSを工夫することで対応しています。
--DRM付きのEPUBを作成できますか。
DRM付きのEPUBには対応していません。Word 2 ePubはコンバーターとしての機能を提供しますが、生成したファイルの著作権保護については、流通企業が担うことを想定しています。
--Wordの表は変換できますか。
Wordの罫線で作成した表についても、その中に含まれる文字を含め、適切なレイアウトでEPUBに変換できます。Excelで作成した表をWord文書にペーストしたものについても、変換可能です。
--一般向けの販売予定について教えて下さい。
現在のところ、Word2XMLとWord 2 ePubという2つのプログラムに分かれているため、これを一本化する作業を進めています。時期や価格については未定ですが、コンシューマー向けとビジネス向けに仕様を変えたうえでリリースすることを計画しています。電子書籍ビジネス向けには、いくつかのデザインパターンを同梱することも検討しています。