NECとMicrosoftは5月24日、これまでの協業関係をさらに強化すると発表した。両社は、従来のサーバ分野における協業を、次世代サーバやHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)領域にまで拡大するほか、ITとネットワークの融合に向け、新たに企業ネットワーク領域でも協業する。
NEC 代表取締役 執行役員社長の矢野薫氏は、「ITが進化する中で、音声や映像もデジタル化され、ネットワークを使って配信するようになった。コンピュータ、サーバ、ネットワークがすべて統合されることで、新たな価値が生み出せる。今回の協業は、こうしたITとネットワークが一体化する時代に向けて、お互いの技術や商品を統合するという宣言だ」と述べた。
今回の両社の協業は、1)企業ネットワーク領域、2)次世代の高信頼・高性能サーバでの技術協力、3)HPC用サーバでの技術協力、4)特許のクロスライセンス、5)日本国内向け製品での協業、という5つの分野に渡る。
まず企業ネットワーク領域においては、NECのIPテレフォニーサーバ「UNIVERGE SV7000」とMicrosoftのリアルタイムコミュニケーションプラットフォーム「Microsoft Office Live Communications Server 2005」の連携を強化する。両社で開発ロードマップを共有し、相互に技術協力する。NECはこのソリューションをグローバル展開する予定で、MicrosoftはNECをマーケティング面で支援する。この分野で両社はさらに、VoIPやビデオの品質向上のための技術開発において協力する。
次世代の高信頼・高性能サーバ領域では、2005年10月に発表したNECと米Unisysの提携で開発される次世代ハイエンドサーバと、同年11月に発表したNECと米Stratus Technologyの提携で開発される次世代無停止型サーバにおいて、Microsoftが「Windows Server OS」の機能面から開発協力する。また、両製品のグローバル展開においてMicrosoftが拡販協力する。
HPCサーバ分野では、Microsoftが開発中のHPC用OS「Microsoft Windows Compute Cluster Server 2003」と、大容量データの高速転送が可能なNECのファイルシステム「GFS(グローバルファイルシステム)」との連携を実現する。また、第三者ソフトウェアの共同検証をするほか、グローバル展開での拡販協力も行う。
特許のクロスライセンスにおいては、ITとネットワークの融合等の領域で、開発協力を緊密化するため、相互ライセンス契約を結ぶ。「特許を気にすることなく、お互い技術開発ができるため、迅速な開発が期待できる」と、NEC 取締役 執行役員専務の小林一彦氏は話す。
最後の国内での協業については、まずNECが業種パッケージをMicrosoftのシステム基盤「Microsoft .NET」に対応させる。その第一弾として、自治体向けパッケージソフトの.NET対応製品を開発、提供する。また両社は、PCの家電化を促進するため、「Microsoft Windows XP Media Center Edition」(MCE)搭載のPCにおいて共同開発および拡販を行う。その中で、MCEの標準メディアオンラインサービスを、NECの動画音楽配信サービス「BIGLOBEストリーム」とする。さらに両社は、Windows Vistaのメディアセンター分野において、共同で技術検証や製品企画、販促活動を展開する。
Microsoftの最高経営責任者(CEO)Steve Ballmer氏は、「日本における3カ年計画としてマイクロソフト日本法人が発表した『Plan-J』の中でも、テクノロジパートナーへのコミットメントは大きな柱となる。NECとは、マイクロソフト日本法人が設立される以前からのつき合い。2007年には『Windows Vista』をはじめ、『Windows Office』や『Windows Live』など、さまざまな製品やサービスが発表される。NECは、こうした製品を拡販するための非常に重要なパートナーだ」と述べ、NECとの結びつきを強調した。