既報の通り、マカフィーは新社長にジュニパーネットワークスで代表取締役を務めていた大須賀雅憲氏が就任し、現代表取締役社長の加藤孝博氏が代表取締役会長に就任することを発表した。それぞれ6月1日に就任する予定。
1999年4月からマカフィー(当時はネットワークアソシエイツ)の代表取締役社長を務めてきた加藤氏は、「難しい問題も多々あったが、それをひとつひとつ解決しながらやってこれたのは、顧客、パートナー、従業員の努力のおかげ」と、この10年を振り返った。
「この10年で売上は10数倍、社員数も6倍になった。世界に占める日本市場の貢献度も約8%となった。10年前はウイルス対策ベンダーとして事業をやっていたが、その後さまざまな会社を買収し、現在は統合セキュリティベンダーとして市場で活躍している」(加藤氏)
しかし、10年間の加藤体制で達成できなかった目標も3つあるという。
「ひとつは世界の売上に占める日本の割合。ワールドワイドの10%を目標にしてきたが、まだ2%分を達成していない。また、セキュリティベンダーとして日本のトップになると常々語ってきたが、これも達成できていない。最後に、総合セキュリティソリューションというマーケットで我々が圧倒的優位に立つというのも目標だったが、これも未達成だ」(加藤氏)
これら3つの課題を達成するために、会長職から新社長をバックアップしていきたい考えだ。
新社長に就任する大須賀氏は、3つの課題を克服するために「勉強を続けながら、社員一丸となって努力していく」と意気込みをみせている。
加藤氏と同じく、大須賀氏もジュニパーネットワークスの代表取締役を10年間務めてきたが、「この10年で学んだことは、(10年前の)ネットワークセキュリティは点だった。しかし、それがDSL時代に線になり、現在は面になっている。昨今の状況を観察すると、そろそろ面だけでは語れなくなっている。人間の心理も含めた三次元のセキュリティが必要だ」(大須賀氏)
大須賀氏を直下に迎える、McAfeeの販売事業部門担当エグゼクティブバイスプレジデント、Michael DeCesare氏は、「1年前に加藤から社長の任から退きたいという話があったとき、日本法人の社長は慎重に選ばなければならないと考えた」と内幕を語る。
McAfeeが慎重を期すのは、「世界のあらゆる地域、APAC、日本、南北アメリカ、欧州で(2009年第1四半期に)二桁成長を遂げた。また、地域だけでなくすべての製品分野でも二桁成長を記録している」(DeCesare氏)からだ。
「大須賀に会ったのは数カ月前。非常に深いネットワークの知識がある。McAfeeはネットワークセキュリティで伸びた会社であるため、大須賀を迎えるのは自然な流れだった」とDeCesare氏は語っている。
トップ交代という性格上、当面は加藤氏が会長職に留まり、新社長の大須賀氏をバックアップしていくという。
「私から、そしてMcAfeeの従業員を代表して、加藤の労に感謝する。(新体制の下でも)彼の夢であるセキュリティでナンバーワンのベンダーになることを追いかる」(DeCesare氏)