NECは5月6日、通信事業者向けクラウドビジネス(キャリアクラウド)を軸とした同社のITおよびネットワークソリューションの提供体制を強化するために、スペイン マドリッドのNECヨーロッパ傘下のNECイベリカを中心として「ヨーロッパクラウドコンピテンスセンター」を設置したことを発表した。
NECでは、2月25日に公表した「中期経営計画V2012」の中で、中華圏、アジアパシフィック、EMEA、北米、中南米のグローバル5極における「One NEC体制」の構築によるグローバル事業の着実な展開を目指しており、今回のヨーロッパクラウドコンピテンスセンターの設置はその一環だとしている。
NECは、2009年スペインにおいて、欧州の通信事業者であるテレフォニカグループ本社とクラウド分野で広範なビジネスを協力して展開する方針で基本合意に達した。その具体的なビジネス連携の第一弾として、2009年7月にはテレフォニカ・スペインが同国内で、主に中小企業向けに展開を開始したSaaSのプロジェクトを受注したとしている。
同プロジェクトは、テレフォニカ・スペインがSaaS形式で企業ユーザーにアプリケーションソフトウェアを提供するためのサービス基盤をNECが構築し、同時に運用委託も受けている。さらに、2010年2月には、中南米地域で事業を展開しているテレフォニカ・インターナショナルと中小企業向けSaaSをはじめとしたクラウドビジネスの共同展開について合意している。
NECは、国内外の通信事業者向けシステム納入の実績と、データセンターサービスプラットフォームの構築やサービス提供のノウハウなどをあわせたITとネットワークの融合技術によってキャリアクラウドビジネスをグローバルに展開しているという。こうした取り組みをもとに、今回設置したヨーロッパクラウドコンピテンスセンターにより、リソースの活用やノウハウの蓄積を強化し、欧州域内における同事業の戦略策定、域内での最適ソリューションの創出、サポート体制の強化などを目指すという。
NECは今後、同センターを欧州のみならず中南米その他の通信事業者への事業展開へも活用し、2012年度に海外売上比率25%の達成を目標としている。