ネットワーク運用管理ソフトを販売するアドベントネットは5月初旬、ネットワーク管理者向けに、1台のパソコン上で複数のネットワーク機器をシミュレートする運用管理ソフトの新版「AdventNet Simulation Toolkit 5.0」を出荷する。
AdventNet Simulation Toolkitは、ネットワーク管理プロトコルのSNMP(Simple Network Management Protocol)で管理可能なネットワーク機器であるSNMPエージェントをシミュレートするソフトである。なお、ルータ/スイッチやサーバ機はみなSNMPエージェントである。ネットワーク機器(SNMPエージェント)とネットワーク管理ソフト(SNMPマネージャ)は、SNMPを使ってMIBと呼ぶ機器固有の管理情報で定義されたデータ値を通信し合うことでネットワーク機器の状態を管理する。
AdventNet Simulation Toolkitの主な用途は、ネットワーク管理ソフト/システムの開発や設定の際に必要となるネットワーク機器を模倣するというものである。これにより、現実のネットワーク環境を用意することなく、仮想ネットワークを使ってネットワーク管理ソフトの動作の検証が可能になる。
シミュレートするネットワーク機器のリストと設定は、現実のネットワーク上に存在するすべてのSNMPエージェントのMIB情報を取得することで自動的に生成可能である。送受信したパケット数など収集したMIB情報の値をスクリプトで自動的に変化させ、ネットワーク管理ソフトで監視するといった運用も可能だ。
5月に出荷する新版では、新たにシミュレートするネットワーク機器に、米Cisco Systemsのネットワーク機器が備えるコマンドラインインターフェース「IOS」を模倣する機能と、ネットワーク機器への遠隔ログインに使うTelnetのサーバ機能、ファイル転送プロトコルのTFTPサーバ機能を追加した。これにより、実際のCisco製ネットワーク機器を用意することなく、IOSによるネットワークインターフェースの設定、アクセスリストの編集、TelnetやTFTPを経由したCisco IOSの設定内容(コンフィグ)の抽出・投入などが可能になる。
稼働OSはWindows NT 4.0以降、Solaris、Linux。価格は、シミュレートするSNMPエージェントの数に依存する。1ノード版の21万6000円からノード数無制限版の216万円まで。IOSシミュレート機能は1ノード34万5000円で、ノード数無制限が323万9000円。このほか、TL1(Transaction Languages 1)と呼ぶ管理プロトコルのエージェントを管理する機能は、1ノード版が32万4000円で、ノード数無制限版が324万円。いずれも初年度保守料を含む。