2010年に起こりそうな失敗--5つの予測

文:Michael Krigsman(Special to ZDNet.com) 翻訳校正:村上雅章・野崎裕子

2010-01-11 12:23

 失敗というものは、人類が他の誰かと協力して何かを行うようになった時からこの世に存在している。このため、2010年にも何らかの失敗があると考えてよいだろう。本記事では、2010年に起こりそうな失敗について考察し、予測してみたい。

#1:従来型のエンタープライズコンピューティングでの失敗は、相変わらず起こり続ける

 「自社でコンピューティングを行う時代はもう終わりに近付いている」と専門家がいくら声を大にして主張しようとも、まだそういった時期は到来しておらず、2010年中に来ることもないだろう。

 企業は2010年もSAPやOracleといった大手ベンダーから重装備の基幹システムを購入し続けるだろう。そして、そういった実装の何パーセントかは期待外れの結果に終わることになる。

 例として過去のCRMシステムにおける失敗率を以下に挙げる(関連英文記事)。実に惨憺たるものである。

  • 2001年 Gartner Group調査:50%
  • 2002年 Butler Group調査:70%
  • 2002年 Selling Power, CSO Forum調査:69.3%
  • 2005年 AMR Research調査:18%
  • 2006年 AMR Research調査:31%
  • 2007年 AMR Research調査:29%
  • 2007年 Economist Intelligence Unit調査:56%
  • 2009年 Forrester Research調査:47%

 こういった状況が2010年に大きく変わるという兆しはどこにも見当たらないため、エンタープライズコンピューティングにおける失敗率は2010年中も変化することがないだろう。

#2:クラウドコンピューティングにおいて、顧客との信頼関係構築の失敗がより大きな問題となる

 企業が自社で運用するシステムを開発する場合、失敗とはすなわち、予定日までに実装が完了しなかったり、予算を超過したり、システム化の範囲や仕様が計画通りにならないということを意味している。

 一方、Software as a Service(SaaS)をデプロイする場合、その期間は短く、規模も小さなものとなる傾向にあるため、付随リスクが小さくなり、失敗というものの意味も従来のソフトウェア開発とは異なってくる。クラウドにおける失敗は、顧客との信頼関係を構築するうえでの問題と、サービス可用性にかかわる問題のいずれかのかたちで現れる。

 顧客との信頼関係の構築に失敗するのは、クラウドベンダーがサービスの品質や価格、その他の約束事について、顧客の期待に添えなかった場合である。これに対してサービス可用性での失敗は、クラウドサービスが停止し、顧客が自社のデータにアクセスできない状態になった場合に発生する。

 クラウドコンピューティングの成長が加速するということは、2010年には顧客との信頼関係の構築やサービス可用性の提供に失敗するという事例が増加するということを意味している。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  2. セキュリティ

    ISMSとPマークは何が違うのか--第三者認証取得を目指す企業が最初に理解すべきこと

  3. セキュリティ

    経営陣に伝わりづらい「EDR」の必要性、従来型EDRの運用課題を解決するヒントを解説

  4. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    中小企業のDX奮闘記--都市伝説に騙されずに業務改善を実現したAI活用成功譚

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]