Intelは米国時間9月20日、オープンソースソフトウェアと知恵を活かして、Linuxサーバ、PC、さまざまなガジェットなどの消費電力を抑えることを目的としたLessWatts.orgを発足すると発表した。
Intelでソフトウェアおよびソリューショングループ担当バイスプレジデントおよびゼネラルマネージャーを務めるRenee James氏の「Intel Developer Forum」での基調講演で詳細が明らかになったLessWattsは、プログラマーからシステム管理者まで、さまざまな技術者を対象にしており、プロセッサをむやみに呼び出して低消費電力状態での待機を妨げているソフトウェアを見つけ出す「PowerTop」ユーティリティなど、Intelのさまざまなプロジェクトを統括する。
Intelの助言に従えば、最近のデュアルプロセッササーバ1台当たり約10Wの消費電力を削減できると、Intelのオープンソーステクノロジセンターでチーフテクノロジストを務めるDirk Hohndel氏は述べている。一見したところたいした量ではないが、正しく行えば、お金をかけずに電力を節約できる。そのうえ、Intelが発表した数字によれば、サーバの消費電力を1W削減すれば、エアコンの消費電力が1.3W減るため、サーバ1台で10Wということは、数千台のサーバが設置されている大規模なデータセンターでは、非常に大きな数字になることがわかる。
オープンソースへの取り組みの発表では、利他的な姿勢を伴うのが通例だが、今回の場合、Intelが親切心から行動しているなどと一時たりとも考えてはならない。Intelの目的はサーバ技術で顧客をより幸せにすることであると同時に、消費電力の削減により、バッテリーの寿命を延ばし、モバイルインターネットデバイスというIntelの構想を実現することなのである。
現在のノートPCでは、Red Hatの「Fedora 7」を実行すると、約21Wの電力が使われる。「我々が提案する6つのちょっとした変更で、同じノートPCの消費電力が15.5Wになり、バッテリーの動作時間が1時間以上延びる」(Hohndel氏)
Intelは現在、さまざまなプログラマーおよびLinuxディストリビューターと連携しており、同社の提案の一部が標準ソフトウェアに組み込まれる可能性は高い。
多少細かい話になってしまうかもしれないが、興味深いと思うので、Hohndel氏が説明してくれた詳細をいくつかここに紹介する。
- 任意の時点でコンピュータがどの作業に集中しているかを決定するカーネルのコンポーネントである「Linuxスケジューラ」を「競合状態からアイドル状態」に変更する。実際、次々と仕事をこなした後、アイドル状態になった方が、一定のペースで動作した場合よりもプロセッサの消費電力は少なくなり、スケジューラの変更により、これを推進することができる。
- グラフィックチップとプロセッサの間で送受信されるデータを圧縮する。メモリからグラフィックチップにデータを転送する際、メモリインターフェースは電力を消費するが、データが圧縮されており、グラフィックチップにデータをデコードする機能が組み込まれていれば、消費電力を削減できる。おそらく、デコードに数千分の1Wの電力がかかるが、メモリインターフェースでは0.5Wの節約が可能だと、Hohndel氏は述べている。
- 高レベルソフトウェアへの変更を行う。たとえば、Linuxには、システムのビープ音など、デスクトップマシンで便利なサウンドをミックスするソフトウェアがあるが、サーバには基本的なサウンドチップしか搭載されていない場合が多く、しかも使われていないことが多い。さらに、サウンドミキサーは毎秒50回も音量調整の変更を確認するため、そのたびにプロセッサが稼働することになる。
- ネットワークの転送速度を下げる。イーサネットの速度を1Gbpsからその10分の1に下げれば、約2Wの節約が可能である。「いつリンクが必要か、いつアイドルなのかを把握していれば、消費電力を節約できる」とHohndel氏は語る。
- Linuxのティックレスカーネルを採用する。これにより、プロセッサの定期チェックの負担がなくなり、低消費電力状態で待機し、すべき仕事がある場合だけ起動するようになる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ