オープンソフトウェアの擁護者で、コンピュータ業界の中でもとりわけ遠慮なく発言する人物であるRichard Stallman氏は、「Chrome OS」が好きではないようだ。
Free Software Foundationを創設したStallman氏は、The Guardianの英国時間12月14日の記事で、クラウドコンピューティングという概念への非難を続けた。同氏は記事で、Chrome OSのクラウドモデルという概念は、クラウドコンピューティングというより「ケアレス(不注意な)コンピューティング」と表現する方がよいのではないかと語った。Chrome OSは、Stallman氏が大切にしているGNU/Linuxのプロジェクトに大まかに基づいてはいるが、「通例のアプリケーションなしで配布され、アプリケーションのインストールを妨げて阻止する作りになっている」という。
これは開発したGoogleが意図したものだ。外部のアプリケーションをインストールできないネットブックは、マルウェアをインストールする可能性のある製品よりも本質的に安全であり、また、多数のアプリケーションがプリインストールされていないシステムの方がはるかに早く起動する、とGoogleは考えている。Chrome OS搭載ネットブックの一般消費者向けの発売は、当初の発売目標より約6カ月遅れているものの、パイロットプログラムの参加者にはテスト機「Cr-48」の配布が行われている。
Stallman氏はとりわけ、こうしたコンピューティングモデルで自分のデータに対する管理が失われることを懸念しており、たとえば、玄関で令状を見せることなく政府当局がユーザーのデータを押収できるようになる、と指摘している。Stallman氏は数年にわたり警告を発してきたが、同氏の警告をどの程度留意すべきかについては意見が分かれている。
Stallman氏のほかにも、12月14日にChrome OSへの懸念を口にした人物がいる。Googleの元エンジニアで「Gmail」を開発したPaul Buchheit氏は、2011年中にこのプロジェクトは廃止されるか、Googleの別のOSであるAndroidに吸収されるだろう、とTwitterで予言した。Googleの最高権威である共同創業者のSergey Brin氏も、AndroidとChrome OSのそうした結合は起こり得ることを示唆している。ただし、「Google Buzz」と「Google Wave」のように、競合するプロジェクトを立ち上げるGoogleの傾向が、両OSプロジェクトの背後の戦略となってきたようにも見える。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。