マカフィーのウイルス対策ソフトで誤認問題--Excelなどに影響

文:Joris Evers(CNET News.com)
翻訳校正:坂和敏(編集部)

2006-03-13 16:45

 米国時間10日に一時、McAfeeのセキュリティツールがウイルス以外のものを駆除する事態が発生した。

 McAfeeのJoe Telafici氏(Avertラボ業務担当ディレクター)はCNET News.comに対し、10日午前にリリースされたMcAfeeのウイルス定義ファイルにエラーがあったため、同社の個人ユーザーおよび企業向けウイルス対策製品が、ユーザーのPCに保存されたMicrosoft Excelを含む複数のアプリケーションを「W95/CTX」と呼ばれるウイルスと誤認する問題が発生したことを明らかにした。

 「太平洋標準時午後1時ごろ、ユーザーの環境でW95/CTXへの感染が見つかったとする異例な数の報告が集まり始めた」とTelafici氏は述べた。「設定のされ方によっては、誤認されたファイルが削除もしくは隔離される可能性がある」(同氏)

 隔離されたファイルはリネームされ、別のフォルダに移動される。McAfeeのウイルス対策ソフトウェアがウイルスと誤認したもののなかには、Microsoft Officeのコンポーネントである「Excel.exe」および「Graph.exe」、そして「AdobeUpdateManager.exe」などが含まれていたとTelafici氏は説明した。AdobeUpdateManagerは、Adobe製品と一緒にインストールされるアプリケーションで、ソフトウェアのアップデートを取り扱うもの。

 Telafici氏によると、個人と企業あわせて約100カ所から問題の報告があったという。世界第2位のウイルス対策ソフトウェアベンダーであるMcAfeeは、この問題に急きょ対策を講じた。個人ユーザー向けの定義ファイルは午後2時30分ごろに自動的に古いものに戻され、また企業ユーザー向けにはその1時間後にアップデートを配布したと、同氏は説明した。

 この問題の影響を受けたのはデスクトップ版ウイルス対策ソフトウェアだけで、電子メールをスキャンするMcAfeeのネットワークレベルの製品には影響がなかったと、Telafici氏は述べた。また、誤認識が発生したのは手動でウイルススキャンを行ったり、予約スキャンを行った場合だけで、アイドル時やバックグラウンドでのスキャン時などには起こらなかったという。

 セキュリティソフトウェアで発生するこのような問題は偽陽性と呼ばれ、時として発生することがある。Telafici氏によると、McAfeeでは一般的に、偽陽性問題のために3カ月に1度ウイルス定義ファイルを緊急リリースしているという。「今回が今四半期分になると思う」(Telafici氏)

 しかし、Excelを誤認識した今回は大失態だったとTelafici氏は認めた。「通常誤認識されるのは、カスタムアプリケーションか、署名ファイル作成時には存在しなかったアプリケーションだ」(Telafici氏)

 Mcfeeは今回の問題の原因を特定できており、今後はこうした問題の再発を防ぎたいと考えている。

 この問題は、同社のデイリーアップデートの一部として、10日午前10時45分ころに公開されたウイルス定義ファイル「4715」によって生じた。また、午後3時30分ころには緊急の定義ファイル「4716」が公開された。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  2. ビジネスアプリケーション

    新規アポ率が従来の20倍になった、中小企業のDX奮闘記--ツール活用と効率化がカギ

  3. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  4. セキュリティ

    「どこから手を付ければよいかわからない」が約半数--セキュリティ運用の自動化導入に向けた実践ガイド

  5. ビジネスアプリケーション

    改めて知っておきたい、生成AI活用が期待される業務と3つのリスク

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]