UPDATE サードパーティーによるiPhone向けのネイティブアプリケーションの開発が可能になることを、Steve Jobs氏が米国時間10月17日に正式に発表した。
Appleの最高経営責任者(CEO)であるSteve Jobs氏はAppleサイトのHot Newsセクションに公開書簡を掲載し、iPhone向けのソフトウェア開発キット(SDK)が2008年にリリースされるという報道が正しいことを認めた。ただし一部の報道では1月とされていたが、SDKの公開は2月になる。とはいえ、この1カ月は開発者やiPhone所有者にとっては待つ甲斐がありそうだ。
「われわれは、iPhoneにかかわるサードパーティーの開発コミュニティをつくり、ユーザー向けの新しいアプリケーションの開発を可能にすることを楽しみにしている。SDKのリリースが2月になるのは、正反対の2つのことを同時にやろうとしているからだ。この2つとは、高度かつオープンなプラットフォームを開発者に提供すること、そして同時にiPhoneユーザーをウイルス、マルウェア、個人情報の盗難などから守ることだ」とJobs氏は声明で述べている。
Appleにとってハッカーとの戦いを制圧することは非常に難しいことである。その一方で、ユーザーからは「iPhone」や「iPod touch」でサードパーティーアプリケーションを利用したいという声が上がっていた(Appleは声明で、SDKによりiPod touchのアプリケーションも作成可能になることを認めている)。Appleがこの2つの道を模索することは理解できる。筆者は、iPhoneが開発者に開かれたものになるには、もっと時間がかかると考えていた。Appleはきっと、新しいMac OS Xが安定していることに安心してこのたびの行動に出たのだろう。AppleはiPhoneのOSについて、コア部分こそMac OS Xをベースにしているものの、実質的にはMac OSのDNAを利用しながらiPhone向けにまったく新しいものを作り直したと、従来より述べてきた。
Jobs氏は、Nokiaが開発者向けに展開する取り組みに似た手法を、最初のiPhone用SDKで採り入れることを示唆している。NokiaはJavaとSymbianベースの端末を対象に、アプリケーションを作成する開発者コミュニティを持っている。Jobs氏は、Nokiaでは、特定のテストを通過したことを意味するデジタル署名が施されていることが、サードパーティーアプリケーションをロードする条件となっていることに触れ、スマートフォンのセキュリティに対する懸念が高まっている状況下では有意義な取り組みだと述べている。
Jobs氏は「端末が『完全にオープン』とは言いがたい状況になるが、正しい方向に向かうための第一歩だと思う」とつづり、誰でもSDKを利用してiPhone向けの信頼あるアプリケーションを作成できるようになることをほのめかしている。
オープン性とセキュリティのバランスをAppleがどう扱うか、答えを知るにはもうしばらく待つ必要がある。いずれにしても、Appleがサードパーティー製品をウェブアプリケーションに限定せず、iPhoneの安全を確保するための選択肢が他にもあることを認めたのは喜ばしいことである。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ