サンフランシスコ発--Red Hatは米国時間3月14日、2006年末までに仮想化技術を主流のLinux市場に投入することを発表した。この動きは同社がサーバの効率を劇的に改善することを約束するものとなる。
Red Hatはすでに主要な仮想化のコンポーネントであるハイパーバイザーソフトウェア「Xen」を次の有料バージョンの「Red Hat Enterprise Linux 5(RHEL 5)」に搭載する。同OSは2006年末までに登場する予定となっている。だが、同社幹部はこの日、節目となるRHEL 5の公開に至るいくつかのステップについて詳細を説明した。
同社が現在計画しているのは、Xenを完全サポートするLinuxのテストバージョン公開、顧客による実験プログラムの実施、Red Hatによる技術評価や移行に関するサービスの実施、さまざまな教育目的の情報を載せたウェブサイトの開設、仮想化関連の再利用可能なソフトウェアをまとめた「Libvirt 」ライブラリ、そしてXenの制御に使うインターフェースの安定化の取り組みなどである。
複数のOSを1台のコンピュータ上で動かし、効率を改善する技術は、何十年も前から存在しているが、現在はこの技術が主流のx86サーバで普及しつつある。Red HatのパートナーであるIntelとAMDはそれぞれ自社のプロセッサに複数の機能を追加し、仮想化に関する性能や機能の改善を進めている。またXenの仮想化ソフトウェアは複数のOSの基盤を提供することから、待機状態にあることが多い複数のマシンの代わりに1台のシステムで作業を済ませることも可能になる。
「これまでのサーバ稼働率が20%以下で、われわれのアプローチではこれを80%まで高められると仮定すれば、非常に大きくコストを削減できるのは明らかだ。それも、ハードウェアだけでなく、サーバを置くスペースや電力、熱処理の問題、システム管理コストなど、さまざまな点でメリットが期待できる」と同社最高技術責任者(CTO)のBrian Stevens氏は説明した。
Red Hatは、3月20日に公開予定の「Fedora Core 5」のリリースを受けて、Xenがかなり広範に試験運用されることになると見込んでいる。先行バージョンの「Fedora Core 4」にもXenは含まれていたが、これは経験豊富なプログラマーが数多くのコンポーネントを手作業でアセンブルすることを求められるような原始的な形態でしかなかった。
「Fedora Core 4は統合とは縁遠い代物だった」とStevens氏は言う。しかし、Fedora Core 5では「どうすればそれを大勢のユーザーに使ってもらえるか」に重点が置かれているという。この目的を実現するため、同OSはIntelの仮想化技術をサポートし、今後AMDの仮想化技術が登場した際にはそれもサポートする予定だという。
次の節目となるのは、今年夏に予定しているRHEL 5のベータ公開だと、Red HatのTim Yeaton氏(エンタープライズソリューション担当エグゼクティブバイスプレジデント)は述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ