MS、「Flash Player」に対抗する「Silverlight」を発表

文:Martin LaMonica(CNET News.com) 翻訳校正:大熊あつ子、福岡洋一

2007-04-16 21:48

 Adobe Systemsの「Flash Player」に対抗するMicrosoft製品の名が明らかになった。正式名称は「Silverlight」で、ウェブサイトにビデオコンテンツを組み込んでいるメディアおよびエンターテインメント企業をターゲットにしているようだ。

 Microsoftは米国時間4月15日、ラスべガスで開催中のNational Association of Broadcastersが主催するメディア見本市「NAB 2007」で、Silverlightを発表した。Silverlightは、ウェブブラウザ上で、メディアファイルの再生とインタラクティブなウェブアプリケーションの表示を行うためのプラグインで、同社が以前、「Windows Presentation Foundation/Everywhere」(WPF/E)と呼んでいたものだ。

 Microsoftは、4月30日から同じくラスべガスで開催されるデザイナーおよびウェブ開発者向けカンファレンス「MIX07」でSilverlightのベータ版をリリースする計画だ。

 Silverlightの発表とあわせて、同製品にさっそく関心を示している、メディア企業や広告代理店といったパートナー企業の名前も明らかにした。Major League Baseball、オンラインビデオ放送局のBrightcove、Netflix、Akamai Technologiesなどだ。

 2年以上前から開発されていたSilverlightは、「Windows」上でも「Mac」上でもウェブアプリケーションを表示できるプレーヤーで、「Internet Explorer」(IE)、「Firefox」「Safari」など複数のブラウザに対応している。ダウンロードするプレーヤーのサイズは2Mバイト以下になるという。

 Flashと同じくSilverlightは、デザイナーやソフトウェア開発者向けの開発ツールも備えている。

 NABカンファレンスでSilverlightを発表することによってMicrosoftは、オンラインに移行しつつあるメディア企業の興味を引きたい考えだ。同社の「Windows Media Video」フォーマットは広く浸透しており、ダウンロード方式のコンテンツでは特に多くの人に利用されている。しかし、AdobeのFlash Playerは、MySpace.comやYouTubeなど、大容量の動画を扱うサイトを中心に、いよいよストリーミングビデオの主流になってきた感がある。

 たとえば、Brightcoveは現在、同社のビデオコンテンツをすべてFlashを使って表示している。しかし、同社マーケティングおよび戦略担当バイスプレジデントAdam Berrey氏によると、Brightcoveは2007年中に、出力フォーマットとしてSilverlightをサポートし、Silverlightに関心を示す顧客にアピールしていく予定だという。

 「Silverlightの最も優れている点は、基本的に、真にシームレスな形でWindows Media Videoフォーマットをブラウザに取り込めるということだ。われわれがこれまでWindows Media Videoをサポートしてこなかったのは、そこにはユーザー体験がないと感じていたからだ」(Berrey氏)

 だがBerrey氏によると、Brightcoveは自社で利用するソフトウェアについては、コンテンツプロバイダがビデオをBrightcoveのサービスにアップロードできるようにするツール群なども含めて、今後もすべて、AdobeのFlashおよび開発ツール「Flex」を使って構築していくという。

MicrosoftとAdobe、軍配はどちらに?

 オンラインビデオの急激な増加で、MicrosoftとAdobeの競争は激化の様相を呈している。

 Microsoftは、オンラインコンテンツの強化を目指すメディア業界に顧客を持っている。また同社は、膨大な数のソフトウェアプログラマーの顧客を抱えているが、さらにグラフィックデザイナーやウェブデザイナーの領域にまで顧客層を広げようとしている。Adobeの場合、売り上げの半分以上を占めるのはクリエイティブ関連のプロ用製品だ。

 Adobeは、ウェブ開発とコンテンツオーサリングを統合しようとしている。3月末に同社が発表した「Creative Suite 3」は、デザイナーが写真やビデオなどのコンテンツを、印刷媒体やウェブサイト、あるいはモバイル機器上に掲載できるようにする統合デザイン環境だ。

 NAB 2007では、Adobeも4月16日に「Adobe Media Player」(開発コード名「Philo」)を発表した。Adobe Media Playerは、Flashフォーマットのビデオをオフラインでも再生できる無料ソフトウェアだ。2007年内にリリースされる予定のAdobe Media Playerを使って、ユーザーはビデオポッドキャストのRSSフィードを取得したり管理したりできるようになる。

 Microsoftのサーバおよびツール部門を担当する製品管理ディレクターのForest Key氏は、SilverlightはFlashより優れていると自信を見せた。同氏によると、Silverlightはベクタグラフィックスを採用していることから、ブラウザのページ内でストリーミングビデオを再生するウィンドウのサイズを変更できるという。Microsoftはまた、コンテンツのパブリッシャー向けにデジタル著作権管理(DRM)ツールも提供する計画だ。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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