連結決算システム「DivaSystem」を開発、提供するディーバは9月2日、企業グループ全体で国際会計基準(IFRS)対応を早期に、高い投資対効果(ROI)で実現できるグループ統一会計システムとして新製品「DivaSystem GEXSUS(ジェクサス)」を今冬から提供することを発表した。
GEXSUSは、グループの親会社の情報システム基盤上に構築される会計システムであり、グループ企業の各社がそれぞれ個別財務諸表よりも細かい仕訳レベルのデータを入力するのが基本だ。グループ企業各社は、仕訳データを入力することに加えて、販売管理システムや在庫管理システムなどの基幹系システムからデータを連携、統合させることもできる。会計基準組み替えなどの個別決算業務は、グループ企業各社で行うことになる。
IFRS対応では、グループ企業各社の単体決算のIFRS組み替えを親会社で集中して処理する方法と、グループ企業各社がIFRSをベースにした決算数値を単体決算として処理する方法がある。GEXSUSでの方法は、これらの“いいとこ取り”をした「ハイブリッド型」とディーバの玉村健氏(ビジネスソリューション本部事業企画担当部長)は説明する。
玉村氏は、GEXSUSであれば「グループ内で会計基準が統一されていることで、経営視点を合わせることが可能。またグループ内でIFRS組み替えスキームを共有でき、グループ企業各社の業務負荷を軽減できる」とそのメリットを強調している。
GEXSUSは、連結決算システムとは異なり、グループ全体の個別会計仕訳データから統合でき、決算業務をグループ子会社に開放することができる。仕訳の種別に会計基準属性を保持させることで、1つの会計帳簿で複数の会計基準に準拠した財務諸表作成を同時に行うことができるという。遡及決算用帳簿を前回の決算帳簿を引き継いだ形で作成できることから遡及決算にも対応できるとしている。
GEXSUSでは、マスタ設定内容に基づいて自動的に調整仕訳が作成できる自動仕訳機能を実装。この自動仕訳機能は、GEXSUSに集められた会計帳簿以外の情報からも仕訳を作成でき、IFRSへの会計基準組み替え仕訳作成を自動化できるとしている。
IFRS対応では、グループ企業各社から寄せられる会計結果をどのように財務報告にまとめあげるのかが課題のひとつとされる。その課題に対して、統合基幹業務システム(ERP)パッケージの大手ベンダーは、親会社が稼働させるERPの個別会計システムをグループ企業全社で活用するという“グローバルシングルインスタンス”を提唱している。それに対してディーバは、グローバルシングルインスタンスよりも低コストで容易に展開できるソリューションとして、今回のGEXSUSを発表している(ディーバ代表取締役社長の森川徹治氏は、2009年時点でGEXSUSを「Global Group Management(GGM)」と呼び、開発中であることを明らかにしている)。
グローバルシングルインスタンスは、グループ企業全体に展開するにはコストが高くなることに加えて、「柔軟性が失われる可能性もある」(玉村氏)という。玉村氏の説明によれば、ある日本企業が日本基準でERPをグループ企業に展開したところ、IFRS対応でバージョンアップを余儀なくされ、そのバージョンアップには巨額のコストが必要になっていると説明している。
コストという視点で森川氏は、上場企業が上場し続けるコストへの関心が高くなっていると説明する。最近では、日本の株式市場では上場する企業が減っていることにも触れながら、個人的な見方として「四半期開示や内部統制などで上場を維持し続けるコストは、以前の2〜3倍になっているのではないか」と意見を述べている。
ただでさえ、上場を維持するコストが高くなっているところにIFRS対応という課題が来ている。そうした企業では上場に関連するコストをもっと下げたいという要求が強くなっていると、森川氏は見ている。今回のGEXSUSも、そうした企業への答えと見ることができるだろう。