「オープンソースはコスト削減になる」--欧州委員会、オープンソースを支持

文:Richard Thurston(ZDNet UK) 翻訳校正:編集部

2007-01-16 15:20

 欧州委員会は、オープンソースソフトウェアを熱烈に支持した報告書を発表した。これは「Linux」やフリーソフトウェアの導入を検討する企業への強力な後押しとなる。

 オープンソースソフトウェアをビジネスで導入することに関する報告書の全文が先週後半に発表された。欧州委員会はその報告書の中で、「ほとんどすべての場合において」プロプライエタリソフトウェアからオープンソースソフトウェアへと移行することによりコストを削減できると記述している。

 この調査結果は、Linuxを使用すればコストが削減できるというのは根拠のない話だとするMicrosoftの主張とは極めて対照的なものだ。

 欧州委員会の調査は、6つの欧州連合諸国におけるオープンソースプロジェクトの詳細な分析に基づいている。

 「われわれの調査結果から、オープンソースへの移行によりほとんどすべての場合において、長期的な所有コストの削減が得られることがわかった」と、オランダのマーストリヒトにある国際連合大学の研究者らにより作成された報告書には記されている。

 Microsoftは、同社の「Get The Facts」キャンペーンを通じてIT専門家や企業に対し、「Windows」を利用する方がLinuxよりもコスト面で有利になり得ると主張してきた。Get The Factsでは、Microsoftのソフトウェアが、オープンソースソフトウェアよりもコスト的に有利であった例を挙げていた。

 欧州委員会による報告書ではさらに、無償のアプリケーションスイート「Open Office」を検討する組織に対し、その導入を推奨している。「Open Officeは、公的機関が文書、スプレッドシート、プレゼン資料を作成するために必要となるすべての機能を持つ」と報告書には書かれている。報告書は「Open Officeは無償で、かつ非常に安定している」とし、Open Officeを使用してもプロプライエタリソフトウェアを使用する場合とユーザーの生産性は変わらないと付け加えている。

 しかし報告書は、2点の注意事項を挙げている。まず1点目は、オープンソースへの移行中は、部分的な導入であっても、組織の短期的なコストは増加すると述べている。主にトレーニングにかかる初期コストのためだという。2点目としては、フリーソフトウェアの使用を指示されることで過小評価されていると感じる従業員がいるかもしれないと記している。

 欧州委員会は、オープンソースソフトウェア開発の促進に向けて、いくつかの行動をとってきた。

 2006年10月には、SQO-OSSというオープンソースソフトウェアの品質を検証するプロジェクトに300万ユーロ(200万ポンド)を出資している。また数日前には、アプリケーション間の相互運用性の向上を目的とした欧州委員会のオープンソースウェブポータルであるOpen Source Observatoryを拡張した。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  2. ビジネスアプリケーション

    新規アポ率が従来の20倍になった、中小企業のDX奮闘記--ツール活用と効率化がカギ

  3. ビジネスアプリケーション

    改めて知っておきたい、生成AI活用が期待される業務と3つのリスク

  4. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    カスタマーサポート業務で生成AIはどう使えるか、代表的な活用場面を解説

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]