サン、Javaをオープンソース化--Java SE向けJDKをOpenJDKで公開

文:Stephen Shankland(CNET News.com) 翻訳校正:編集部

2007-05-10 11:22

 カリフォルニア州サンフランシスコ発--Sun MicrosystemsのJavaが正式にオープンソースプロジェクトとなった。ただし、一部例外が含まれるという。

 Sunは当地でのJavaOneカンファレンス開幕日に当たる米国時間5月8日、OpenJDKウェブサイトで「Java Platform Standard Edition(Java SE)」向けの 「Java Development Kit(JDK)」を正式にリリースした。

 この動きにより、だれでもJavaソフトウェアを調査、修正、再配布できるよう、普及している同ソフトウェアのオープンソース化という約束が果たされることになる。Sunは、同プロジェクトの「分派」により互換性のないバージョンが登場することを懸念し、Javaのオープンソースソフトウェア化に何年も前から反対していたが、その態度を軟化させた。

 Sunのソフトウェア担当エグゼクティブバイスプレジデントRich Green氏は、同カンファレンスの開会にあたり、「Javaのオープンソース化についてはこれで完了した」と述べた。

 だが、実際のところは完全ではない。Javaのオープンソース化には注目すべき例外がいくつかある。

 ひとつには、あるサードパーティーの説得にSunが失敗していることが挙げられる。同社最高オープンソース責任者Simon Phipps氏が9日に開かれたパネルディスカッションで語ったところによると、Javaに技術提供した同サードパーティーにコンポーネントをオープンソースソフトウェアとしてリリースすることを説得していたが、上手くいかなかったという。

 これらのコンポーネントは、画面上でのグラフィックスとフォントのレンダリングやカラーの選択を処理するために使われる。SunのOpenJDKアンバサダーTom Marble氏によると、これらはサウンドや暗号の要素にも関係があるという。Marble氏は、「著作権所有者とは既にコンタクトをとったが、オープンソースライセンスでの公開を求める交渉に失敗した」と語っている。

 Sunはこの問題を回避するため、現時点ではこのプロプライエタリソフトウェアをビルド済みの「バイナリ」モジュールとして組み入れ、プログラマーがソースコードからビルドしたJavaに添付できるようにしている。

 Phipps氏はこのサードパーティー企業の名前を公表したかったが「否決」されたという。Phipps氏としては「公表を提案していた」が、Richard Stallman氏の勧告を聞き入れることにしたという。Stallman氏は、Free Software Foundationを立ち上げ、オープンソースJavaも規定するようになった最初のGNU General Public License(GPL)を作成したビジョナリーである。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    ランサムウェアが企業防衛の常識を変えた!被害防止のために今すぐ実践すべき「3つの対策」とは

  2. セキュリティ

    「侵入ではなくログインされる」脅威が急増、再構築が求められるアイデンティティ保護戦略とは

  3. モバイル

    デバイス管理でゼロトラストを実現、急成長したスタートアップが選択したMDMツール

  4. ビジネスアプリケーション

    三菱電機が挑む「組織横断価値創出」変革。既存システムを活かし、開発を加速するデータ連携の最適解

  5. セキュリティ

    ゼロトラスト時代だからこそ改めて考えたい、セキュリティの基本原則「多層防御」アプローチ

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]