話題の「Mac」、Windowsとどう違う?

林信行

2006-07-07 16:39

 「Mac」は米Apple Computerのパソコン製品ブランドの名称だ。実際の製品としてはノート型の「MacBook」や「MacBook Pro」、デスクトップ型の「Mac mini」「iMac」「Power Mac G5」、サーバの「Xserve」などがある。

ハードとOSが一体のMac体験

MacBook Pro ノートパソコン「MacBook」。Macは本体が白いものがほとんどだが、黒バージョンが発売されて話題になった

 MacとWindows機の最大の違いはOSを含めた製品の設計思想にある。Windows機は、MicrosoftがOSをつくり、多数の会社がMicrosoftの定めた動作条件に見合うPC(ハード)を開発、提供するというモデルだ。これに対してMacは、パソコン本体とOSのどちらもAppleが1社でつくっている(1995年から2年だけ、他社による互換機を容認していた時代があったので、その時代は別だ)。

 Macは1984年に2495ドルで登場した。一般ユーザー向けのパソコンとしては、初めてグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)、つまりマウスでアイコンやウィンドウ、メニューを扱う操作方法を採用した(一部の高級ビジネス機では1年前に実現していた)。

 当時の技術では、GUIをこの価格帯のハードで実現するのは大変だった。そのため初代Mac開発チームは、ハードとOSの両面から動作の最適化を行った。こうしたハードとOSの密接な連携は今日でもMacの大きな特徴となっている。

 そもそもMacのハードはApple1社しかつくっておらず、ハード仕様のバリエーションが限られている。このため製品モデルは複数あっても、ハードウェアにあわせた最適化がしやすい。

 最もよく知られた例は、印刷時の色を正確にソフトウェア画面上で再現するColorSyncという技術だ。これはMacをDTP市場で優位に立たせている技術のひとつだ(ちなみにAppleは自ら高品位のディスプレイ製品も提供している)。

 同様にMacが搭載するビデオカードの性能を最大限に引き出すCore Image、Core VideoというOS機能もある。これを応用したアプリケーションは、複雑な映像エフェクトをリアルタイムで施すことができる。Mac用の映像系ソフトのいくつかは、リアルタイム機能を強みとしている。

 これに加え、そもそもMacのハードはApple1社しかつくっていないため、ハード仕様のバリエーションが限られている。そのためWindows機にありがちなハード間の相性による問題(ビデオカードや音声機能の相性問題)が起こりにくい。またハード仕様にあわせたソフトの最適化もやりやすい。

 なお、Macの設計思想はハードとOSの2つだけに止まらず、製品づくりの根本から製品の展示やアフターケアにまで貫かれている。

 例えばMacは生活空間の中での存在感といったものにも気を配っている。初代Macはデスクの上に置いた時に、机の反対側に座る相手の顔を隠すことがないようにコンパクトなデザインを採用した。また、その際、相手に見える背面が醜悪では行けないと、背面デザインにも徹底的に気を配った。これらのデザイン的配慮は今日のMacにも引き継がれている。Macはどの角度から見ても美しくなるように細心の注意が払われているのだ。

アップルストア銀座 東京銀座にある国内初の直営店「Apple Store, Ginza」

 製品の美しさだけでなく、所有する満足感の演出にも熱心で、それは製品のパッケージデザインなどにも表れている。製品の展示方法や商品紹介にもこだわりがあり、ついには自ら直営店「Apple Store」を経営するまでに至った。直営店は製品の販売以外に、故障も含めた購入後の相談やパソコンの楽しみを教える場としての機能も備えている。

 Appleではこうした製品パッケージの開封からアフターケアまで含めたパソコン体験を「Macエクスペリエンス(体験)」と考えている。

 なお、直営店事業は4年半の間に世界全体で151店舗まで拡大し、売り上げでも大手アパレル直営店などを上回る収益をあげている。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  2. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  3. セキュリティ

    ISMSとPマークは何が違うのか--第三者認証取得を目指す企業が最初に理解すべきこと

  4. ビジネスアプリケーション

    中小企業のDX奮闘記--都市伝説に騙されずに業務改善を実現したAI活用成功譚

  5. セキュリティ

    「どこから手を付ければよいかわからない」が約半数--セキュリティ運用の自動化導入に向けた実践ガイド

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]