Mac用のソフトウェア開発者らは先週、Apple Computerが開いたセッションで初めてIntelプロセッサ搭載Macを目にし、今後自分たちの手がけるプログラムの変換作業にどれくらいの手間が必要になるかを知ることになった。
米国時間6日にIntelチップへの切り替えを発表したAppleは、Worldwide Developer Conference会場にIntel Macを並べたラボを設け、ソフトウェア開発者らに状況を把握する機会を提供した。このラボは、6日と8日は午後9時まで、そして7日は深夜まで開いていた。
AppleがIntelチップを搭載したMacを正式発売するのは来年以降になるが、同社は今月からソフトウェア開発者向けに、999ドルでテストマシンのリースを開始していく。
Fetch Software社長のJim Matthewsによると、同社は90年代半ばに行われたMotorolaの68000系チップからPowerPCプロセッサへの移行や、その後のOS 9からOS Xへの移行など、過去にもプラットフォームの移行を経験しているという。Matthewsは、今回はAppleがソフトウェア開発者らに事前に通知しきたので助かると述べている。
「Appleは、十分な時間と、テスト用のハードウェアを提供しようとしている。今までこんなことはなかった」(Matthews)
Intel Macで動作するようプログラムを書き換えるのに必要な作業量は、製品によってかなり異なる。Mac OS X登場後にAppleの「Cocoa」環境で書かれたある程度新しいMac用プログラムのなかには、数時間あるいはそれ以下の時間で変換可能なものもある。
Delicious Monster SoftwareのCEO(最高経営責任者)、Wil Shipleyは、「われわれは、すでに自社のアプリケーションをIntelチップ用に変換済みだ。この作業はボタンを1回クリックするだけで、約40秒で完了した。WWDCで先行公開されたIntel Mac上で完璧に動作している」と語った。
しかし、変換作業がもっと複雑になる場合もある。Mac OS X登場以前にアプリケーションを開発し、その後OS Xネイティブで動作するよう「Carbon」化したところでは、もう少し余分に作業が必要になってくる。Appleによると、それでもAppleのXcodeツールが開発に使われている場合は、最高でも数週間で変換作業が終わるという。しかし、Metrowerksのツールを使って開発されたアプリケーションの場合は、まず最初にAppleのツールにそれを移行し、それからIntelチップ用にチューニングを行うことになる。
最後のグループにはMicrosoftも含まれている。同社の「Virtual PC」や「Office for Mac」は、Metrowerksのツールを使って開発されたCarbonソフトウェアだ。Microsoftによると、今後どれだけの作業が必要になるかは分からないという。
MicrosoftのScott Erickson(Macintosh Business Unitグループプロダクトマネジャー)は、「我が社の開発者が注目している問題の1つは、今後必要になる作業の量だ」と述べている。Microsoftはすでに、将来投入するOfficeをIntelチップネイティブにすると明言している。だが、Mac上でWindows用のプログラムを動かすVirtual PCについては、まだ詳細な計画は明かされていない。