--「Azure」というと、英語で青か紫のことだっけ。
どちらかというと空色に近いかな・・・。ああ、そして、Microsoftが2008年10月に発表したクラウドコンピューティングプラットフォームの名前でもある。
--で、それは一体どういう意味なの。
このサービスは、本質的にはコンピューティング能力とストレージを提供するサービスで、Microsoftの所有しているデータセンターに置かれていて、顧客はインターネット経由でこのサービスにアクセスするというものだ。
--もう少し教えてくれるかな。
Windows Azureを使えば、基本的に、組織が新しくサーバを購入することなく、自由にコンピューティング資源を増やしていける。Amazonのサービスである、EC2やS3のアプローチと同じだね。
新しいアプリケーションをリリースしたり、そういうアプリケーションのサポートをしようとしていて、何百万人ものユーザーが増えると予想されている場面を想像してみて欲しい。このサービスを支えるための機材を自分で購入する代わりに、そのサービスをAzureで動かせば、追加の処理能力なときに、Microsoftのサーバーに提供させることができるんだ。Fabric Controllerと呼ばれるAzureのツールを使えば、アプリケーションへのトラフィックが急増してもそれに対応できる。
Azureを使うということは、単にウェブアプリケーションを使うということ以上のことだ。企業はAzureを使って、財務計算やバッチ処理による動画処理などの、高負荷の計算タスクを行うことができるんだ。
--ストレージについてはどうなの。
ストレージについては、ユーザーは自分の持つデータ、例えば企業のデータベースなどを、Azure上に移動することができる。これは、ウェブが利用できれば、どんなデバイスからでも、どんなOSを使っていてもこれらのデータにアクセスできるということだし、ストレージを自分で維持する必要もない。また、Azureに置いたデータを扱うのに、Microsoftが開発したアプリケーションを使う必要もない。これは重要なことだよ。
--どういうこと?
つまり、Microsoftが持っていた、技術を閉じたものにしておく傾向が、弱まっているということなんだ。Microsoftは、自社のエコシステムの中で、ユーザーが他のベンダーのアプリケーションを開発することを許すようになってきており、相互運用性も高めようとしている。
--それで、Azureを使うと何が嬉しいの。
他のクラウドコンピューティング技術と同じで、柔軟性とコストがセールスポイントの中心だ。柔軟性については、サービスがホスティングされているため、従来の技術に比べて、企業はコンピューティングに関するニーズの増減に合わせやすい。コンピューティング能力を、必要に応じて利用できるからだ。
コストについてだけど、他人のサーバでアプリケーションを実行すれば、節約になる可能性は大きい。余分なハードウェアを購入する必要もないし、電気代を払う必要もないからね。
--それで、このAzureとやらで、Microsoftは他に何をしようとしているの。
Windows Azureは、実際にはAzure Services Platform(ASP)と呼ばれる広範囲にわたるテクノロジーの一部分なんだ。ASPを構成する他のサービスも、Azureと同じように、さまざまなソフトウェアによるタスクや計算処理を、企業がファイアウォールの制約を超えて外に持ち出すことができるように設計されている。
--Azure Service Platformは何に使えるの?
開発者は、社内のコンピューティング環境をあまり必要とせずに、.NET Servicesを使ってアプリケーションを構築し、テストし、デバッグし、ウェブ上でそれを配布することができる。これはSalesforce.comがForce.comプラットフォームで提供しているものに似ているね。
ASPの他のサービスには、SQL ServicesやLive Servicesがある。SQL Servicesは、リレーショナルデータストレージとクエリーを扱うものだ。Live Servicesは、ユーザーデータとアプリケーション資源を扱うための一連の技術で、ソーシャルアプリケーションの構築に役立つ。Live Servicesには、デバイス間やアプリケーション間でデータの同期を行ったり、IDやプレゼンス、検索などに関わる機能の構築手段を提供する、Mesh Servicesなども含まれる。
また、SharePointとDynamics CRMをASPに組み込んで、これら2つのアプリケーションに拡張する機能を持たせる計画もある。