前回は、サービスの仮想化(バーチャライゼーション)と組織化(オーケストレーション)について考えた。今回は、インフラ部分から少し離れ、アプリケーションの観点からネットワークの未来について考えてみよう。ということで今回は、ノーテルネットワークスで企業向け音声ソリューションおよびユニファイドコミュニケーションを担当する私、坂内から、皆さんのワークスタイルを変革するヒントを提供できればと思う。
SIP(Session Initiation Protocol)の登場により、今日のコミュニケーションは従来のデータコミュニケーションに加え、プレゼンス情報に代表されるアイデンティティを持つようになり、マルチメディア情報を包括的に扱えるようになった。いわゆるユニファイドコミュニケーションの実現だ。
いまやユニファイドコミュニケーション分野における主要なプレイヤーとなったMicrosoftやIBMは、ますますそのテリトリーを広げつつある。こうした大手は、例えば携帯電話市場でも、PCとの連携を可能にするスマートフォンの分野に参入し、これまでの携帯電話が提供し得なかったアプリケーションが利用可能となっている。
そこで今後、この分野で注目されるのがFMC(Fixed Mobile Convergence)、つまり移動体通信と固定網を融合したサービスと言えるだろう。
電話のカタチをした情報端末
PCで動くアプリケーションが携帯電話やPDAでも動くのであれば、ユーザーの嗜好はより小さなデバイスへと向かう。FMCでは、1つのデバイスで、社内ではワイヤレスLAN、社外では携帯網につながり、1つの番号でその両方を呼び出すことができるようになる。ワイヤレスLANと携帯網との間でハンドオーバーされ、シームレスに通話を続けられる。ユーザーの利便性が向上すると同時に、企業にとってはコスト削減につながるだろう。
現在、ユニファイドコミュニケーションのプラットフォームとしては、Microsoftの「Office Communications Server」やIBMの「Lotus Sametime」などがあり、今後はそのプラットフォームと連動するアプリケーションが様々なベンダーから提供されるようになるだろう。すでにモバイル端末で動作するCRMアプリケーションは存在するし、海外ではキャリアと連携し、ユーザーの位置情報を認識してワイヤレスLANと携帯網とを切り替えるといったアプリケーションも提供され始めている。
最近、ユニファイドコミュニケーションへの進化を予感させる電話機が登場した。韓国のLG-Nortelが製造した「IP Phone 8540」だ。この電話機の中身は、Office Communications Serverに最適化されたOffice Communicatorクライアント。VoIPや電話帳、プレゼンス確認、通話転送など、主要なコミュニケーション機能を5.7インチのタッチスクリーンで利用でき、連絡先やカレンダー、ボイスメールなどにもアクセスできる。近い将来、これを携帯電話のカタチにすることは、それほど難しくはないだろう。電話のカタチをした情報端末化は、ますます進んでいくはずだ。
あらゆるエリアにSIPが届く
このようなデバイスがどんどん普及していけば、ブランチオフィスもユニファイド化されていくだろう。ブランチオフィスでは、ルータやファイアウォールといった様々なネットワーク機器がワンボックス化され、そこに仲介サーバが組み込まれることによって、本社にあるIP-PBX機能をブランチオフィスまで延長できる。IPやSIPがいままで届かなかったエリアにも、その機能が伸びていくのだ。
もう1つ重要なのは、災害時や障害時にどうやってユニファイドコミュニケーションをつないでいくかだ。障害時には正常なネットワークが呼処理を肩代わりするような、地理的な冗長性を実現する機能が重要視されるようになるはずだ。
離れた場所でもお互いにつながっていること。それが重要であり、ユニファイドコミュニケーションの進む方向だろう。だからなおさら、いつもポケットに入れておけるような小さなデバイスである方がその真価を発揮しやすい。あとは、通信機ベンダーとは一線を画す日本のキャリア側が、どこまでユニファイドコミュニケーション的機能を提供してくるかだ。企業ネットワークの未来は、こうした動きにも影響されるだろう。
筆者紹介
坂内聡(ばんない さとし)
ノーテルネットワークス エンタープライズアンドチャネルズ営業本部
エンタープライズマーケティング プロダクトマネージャー
経歴:
1987年 ノーザンテレコムジャパン入社、企業向けPBXカスタマーサービス部門に配属。以後、局用交換機DMS-100システムプロジェクトマネージメント、PBXカスタマーサービス等を経て、1997年より現職。
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