先週、Microsoftは携帯電話メーカー向けの「Windows Mobile」をこの1年の間に2バージョン体制にするというニュースがDigitimesから発表された。この記事は多くの業界観測筋の注目を集めたが、そのおかげで本物のニュースはないがしろにされてしまった。Digitimesが8月19日付で掲載したニュース記事が正しいのであれば、「Windows Mobile 7」の開発作業は予定よりも約半年遅れているということになるのだ。
もちろん、MicrosoftはWindows Mobile 7の出荷予定日を公式には述べていない。目標の出荷予定日がなければ遅れているとはいえない。確かにその通りだ。
だが、それは間違いだ。Microsoftは非公式ではあるが、今年の秋にはWindows Mobile 7を携帯電話メーカーに出荷すると述べていたのだ--つまり、Windows Mobile 7は2010年春には店頭に並ぶということになる。私自身、これらの時期を明示したロードマップを見たことがあるし、UX EvengelistブログのStephen Chapman氏が2009年4月にMicrosoftのものというスライドを暴露しているが、やはりこのスライドにも同じような時期が掲載されている。Chapman氏がそのスライドを提供してくれたので、以下に貼り付ける。
Digitimesは、「Microsoftは現在、2010年末にWindows Mobile 7を搭載した携帯電話を投入できるようコードを提供する計画だ」とする台湾の携帯電話メーカーの意見を紹介している。この場合、埋め合わせ的位置づけの「Windows Mobile 6.5」から1年以上経過することになる。
これが本当だとすれば、Microsoftの代表者が7月末に述べたコメントと矛盾することになる。Microsoftは当時、「Windows Mobileチームは、予定に間に合うようにやっと作業を開始した」と述べていた。Microsoft Financial Analyst Meetingにて、エンターテインメント・端末部門担当プレジデントのRobbie Bach氏にもらった正確なコメントは以下の通りだ。
Windows Mobile 6.5は、当初の出荷予定日の4日以内にハードウェアメーカー向けに出荷された。これは、どの市場でもすばらしい業績といえるが、中でも電話が関係する市場はリリースプロセスが非常に複雑であり、われわれは自分たちの業績を誇りに思っている。将来われわれが前進するにあたり、回復と回復を実行するペースはさらに改善すると信じている。
Windows Mobileデュアルプラットフォーム戦略--ここでMicrosoftは、キャパシティブタッチ画面をサポートしたWindows Mobileの新しいバージョンを2010年前半に公開することに向けて準備を進めている、といわれている--は、特に驚きに値しないと思う。Microsoftの幹部は1カ月ほど前に、Windows Mobileチームは、Windows Mobile 6.5の一部として出荷されるタッチ機能以外のタッチ画面サポートを追加する方法を模索していることを匂わせていたからだ。キャパシティブタッチ画面を搭載する携帯電話向けに最適化した「Windows Mobile 6.5B」が出てきても、驚きではない。
Microsoft側は、Windows Mobile 7について堅く口を閉ざしているので、Digitimesの記事についてコメントを得ることはできなかった。2010年春というのは、開発が遅れているWindows Mobile 7の出荷時期としては早すぎる気がするが、2010年末にプラットフォームの設計が完了となった場合、「iPhone」などの競合を考えると、Windows Mobile事業は深刻な問題に包囲されることになりそうだ。
Windows Mobile 7は今後どうなるのだろうか?Microsoftの戦略は実のところどうなのか?
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ