Googleがついに、自社OS「Chrome OS」(の一部)を公開した。業界の動向観測者の質問とそれに対するGoogleの回答を読んでみると、Chrome OSは2010年後半のロールアウト時には、それほど魅力的なOSにはなっていないのではないかとわたしは予想している。以下にその理由を書いてみたい。
まず、他でも指摘されているように、Chrome OSはLinuxの上に新しいウィンドウシステムを重ね、ネットブックで動作するようにカスタマイズしたOSだ。Googleの幹部の言葉を借りると、Googleのブラウザである「Chromeの拡張」である。Google側は、デスクトップアプリケーション機能を持つウェブアプリケーションを提供する方法として、Chrome OSを売り込んでいる。
Microsoftは自社ブラウザの「Internet Explorer」だけでなく、「Firefox」、Appleの「Safari」、Googleの「Chrome」にも拡張機能を提供している。この拡張機能こそ「Silverlight」だ。Silverlightはさまざまな特徴を持つが、複雑なコンシューマ向け/ビジネス向けアプリケーションをブラウザ経由で提供する手段となっている。
Microsoftは先週開催した「Professional Developers Conference(PDC)」にて、ブラウザプラグインの最新版「Silverlight 4」の戦略と計画を発表した。Silverlight 4は、データバインディング、エンタープライズネットワーキング・プリントの対応などが加わり、単一機能の軽量ウェブアプリケーションを作成する開発者だけではなく、複雑な業務アプリケーション開発者にも魅力的なものとなりそうだ。正式版は、2010年半ばに公開の予定だ。
Silverlightは、Microsoftのプログラミングモデル「Windows Presentation Foundation(WPF)」の機能を簡素化したクロスプラットフォーム版だ。WPFとSilverlightは、バージョンが上がるごとにお互いの機能を取り込んでいる。
Microsoftでリッチクライアントプラットフォーム担当製品マネジメントディレクターのBrad Becker氏は先週、将来的には--具体的な時期には触れなかったが--SilverlightとWPFは1つのウェブプログラミングおよびアプリケーション配信モデルに統合され、「Silverlight」と呼ばれることになるだろうと語った。2つの技術は同じアセンブラとツールを持つので、1つに統合するという考えは十分可能性がある。それまでは、MicrosoftはWPFとSilverlightを別々に提供し、開発者がより複雑でリソースを必要とするアプリケーションはWPF向けに、ウェブ中心のアプリケーションはSilverlight向けに開発することを奨励する計画だ。
Chrome OSに関する情報(だが、コードやシステムではない)を共有しようとGoogleが先週開催したプレス発表会で、SilverlightがChrome OS上で動くかという質問に対し、Googleは「ノーコメント」とした。おそらくGoogleは、SilverlightをChrome OSと親和性があるものというより、敵対関係になると見ているのだろう。
わたしの理解では、SilverlightはOSではない。だが一部のGoogle観測者は、Chrome OSが実際のところOSなのか、ブラウザの豪華版なのか疑問に思っているようだ。SilverlightはさまざまなPCで動き、まもなく携帯電話にも対応する。一方のGoogleのOSは、LinuxベースのネットブックOS専用であり、周辺機器も限定されるようだ。Microsoftはすでに、ネットブックOS(Windows)を提供しており、ブラウザ内でアプリケーションを動かすことを強要しないし、さまざまな端末と互換性がある。
Chrome OSは、Windowsではなく、Silverlightと競合することになるのだろうか? 現時点でわたしは、これはありえないシナリオだと思うが、Silverlight内で動くよう設計されたアプリケーションが増えるとどうなるだろうか?
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ