米ラスベガスで開幕した「Microsoft MIX 10」では、「Windows Phone 7」に関する情報がいくつも明らかになった。わたしはここで、セッションやプレスカンファレンスに参加し、Windows Phone 7開発を統括しているCharlie Kindel氏にインタビューをした。
以下に、初日の活動から得られたWindows Phone 7に関する情報を紹介したい。Microsoftのモバイル戦略を解き明かそうとする開発者や顧客が抱いているであろう質問と回答という形式で列挙する。
Q:Windows Phone 7端末はマルチタスクが可能か?
A:Kindel氏によると、Windows Phone 7の一部となっているMicrosoft独自の「エクスペリエンス」ではマルチタスクが可能だ(つまり、音楽を再生しながら電子メールアプリケーションを利用する、といったことができる)。だが、サードパーティーのアプリケーションに同じようなマルチタスク機能はないとのことだ。開発者は、アプリケーションが常時ライブであると思わせるような通知機能のようなものを使うことはできるという。さらに、最新のユーザーインターフェイス(UI)の一部である“ライブタイル”は、常時リアルタイムで更新される(通知機能を経由することも可能)。将来、バッテリー持続時間、ネットワーク利用、アプリケーションの予測可能性が改善されれば、マルチタスクを全てのアプリケーションで可能にしていくとKindel氏は述べた。
Q:新しい「Windows Phone Marketplace」だけでしか、Windows Phone 7で動くアプリケーションをダウンロードしたり購入できないのか?
A:イエスかノーかなら、イエスだ。Microsoftはモバイルコンテンツの配信メカニズムを合理化する方針で、アプリケーションやコンテンツは同マーケットプレイスでしか購入できない、とのことだ。しかし、業務用コンテンツや社内用ベータなど、他の配信メカニズムを必要としている開発者や企業もいる。「これについては、2010年春以降に詳細を説明する」とモバイルプラットフォームサービスの製品管理担当上級ディレクターのTodd Brix氏は述べた。
Q:Windows Phone 7でサポートする開発言語は?
A:現時点では、C♯のみだ。Kindel氏は、Visual Basic、C++などの.NET技術に関心のある開発者がいることを認めて、将来これらの言語をサポートする可能性があると述べた。だが、Windows Phone 7でのMicrosoftの開発戦略は、XAML開発なら「Silverlight」を利用し、インタラクティブや3Dゲームなら「XNA」を利用する、というものだ。サポートするSilverlightのバージョンは、「Silverlight 3」となる(2010年4月にリリース予定の「Silverlight 4」ではない)。Windows Phone 7プラットフォーム向けツールのコミュニティーテクノロジプレビュー(CTP)版は、米国時間3月15日時点でダウンロード可能となっている。
Q:エンタープライズ開発者/顧客向けの戦略は?Windows Phone 7はエンタープライズも視野に入れているのか?
A:Kindel氏は、第1世代のWindows Phone 7のターゲットはビジネスユーザーというよりコンシューマーであることを認めている。「大企業がWindows Phone 7端末を従業員向けとして大量に購入するとは想定していない」とKindel氏は述べている。Microsoftは、エンタープライズでの利用が限定的なコンシューマーをターゲットとしており、エンタープライズが既存の「Windows Mobile」アプリケーションを最新のプラットフォームにマイグレーションするツールを提供する計画についても、現時点ではないという。
Q:「Dorado」(「Zune」のPC向けソフトウェア)とWindows Phone 7端末との関係は?
A:Doradoは、携帯電話と同期するのに必要な「唯一のソフトウェアになる」とKindel氏は言う。「ActiveSync」をリプレースし、携帯電話にある全てのオーディオ/動画コンテンツを同期する導管となるのがDoradoだ。Doradoがこれに加え、Windows Phone OSの更新をユーザーの端末に「OTA(Over The Air)」でアップデートする手段となるのかについては、Kindel氏は回答してくれなかった(これについては、2010年中に詳細を明らかにするとのことだ)。
Microsoftはまた、Windows Phone 7向け開発ツールやWindows Phone OS 7.0の正式版の公開時期についても明らかにしていない(質問したところ、返ってきた答えは「2010年の年末商戦までに端末が出荷するのに合わせる」だった)。また、「ZunePass」サブスクリプションサービスの今後の計画について聞いたときも、「音楽の課金計画については、今後数カ月以内に話をする」というあいまいな回答だった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ