マイクロソフトのモバイル戦略の手がかりとなるもう1つのキーワード:「Dorado」

文:Mary Jo Foley(Special to ZDNet.com) 翻訳校正:末岡洋子 2010年02月05日 12時43分

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 Microsoftはモバイルに関連して、「Pink」「Turtle」「Pure」「Rouge」「Zune Phone」など多数の開発コードを持っている。

 その中に、難解なMicrosoftの“モバイルパズル”において重要なピースとなる開発コードがある--「Dorado」だ。Doradoは、PC向けの「Zune HD」インターフェースソフトウェアの開発コードで、新しいものではない(Zune HDのブランディング/マーケティングパートナー、Central Planning TVがDoradoについての動画を作成している)。


 Zune HDユーザー(わたしもその1人だ)ならご存知のように、DoradoはMicrosoftらしくないソフトウェアだ。Windowsスタートメニューも「Ribbon」もなく、Microsoft社内で開発された技術を利用しているがユーザーエクスペリエンスは非常に異なる。

 現在、DoradoはZuneプレイヤーのバックエンドハブとしての役割を持つ。だがMicrosoftの代表者が述べているように、Microsoftは専用メディアプレイヤービジネスにとどまるつもりはない。Microsoftの計画は、Zuneを音楽サブスクリプション、動画サブスクリプションなどのメディアプレイヤー、携帯電話、ゲーム機(そして、たぶんPCも)向けサービスに変えることだ。

 では、この計画がDoradoになにを意味するのか?「iTune」のように、現在のコンテンツに加えて、ソフトウェア、電子書籍、ゲームなどを「Windows Phone」と「Xbox」のユーザーに配信するようになるのだろうか。

 MicrosoftはDoradoの将来を明らかにしていない。実際のところ、Microsoftの代表者は先週公開した「メンテナンスリリース」である「Dorado 4.2」で行った水面下の調整や新機能についてのコメントを控えており、ZuneのPCソフトウェアそのものについて多くを語らないだろう。だが、Microsoftは携帯電話メーカーが自社端末にZuneを搭載することを認める計画であることから、外部の人は、次の動きについてさまざまな推測をしているようだ。

 「ZuneのアプリケーションであるDoradoは、『Windows Mobile 7』においてiTunesに匹敵するサービスとなる」というのは、Microsoftに精通したわたしの情報筋だ。匿名を条件に語ってくれた。将来的には「コンテンツの同期、コンテンツの購入、デバイスの更新」などの機能を提供するという。そして、MP3プレイヤーと携帯電話の境界線があいまいになりつつあり、携帯電話のバックエンドとしての役割も持つようにDoradoを拡大するのはそれほど難しいことではない、と続けた。

 理論的にはわかりやすい話だが、現実はかなり複雑なようだ。

 Directions on Microsoftのアナリスト、Matt Rosoff氏は次のように述べた。「Appleの『App Store』はPCとMac上のiTunesに統合されている--ユーザーは、iTunesインターフェースを通じてアプリケーションを購入できる。『iBook Store』でも同じような展開になるだろう」「Microsoftの場合、ストアは端末とコンテンツの種類によって異なるため、かなり分断化されているのが現状だ。たとえば、XboxもZuneもエンターテインメントデバイスだが、XboxからZuneのダウンロードや『Zune Pass』にはアクセスできない。しかし、ホームステレオシステムを利用してXboxから音楽を再生するというのは理にかなった方向性だ」

 ZuneSpring.comのTravis Pope氏は、Zuneが「Windows Media Player」を置き換える形でWindowsに統合される可能性は大いにあると見ている。また、iTunesやそのほかのベンダー固有のソリューションとの最大の差別化になるのはビデオともみているようだ。

 Zune Most Valuable Professional(MVP)でInseidetheCircle.netの創業者、Marques Lyons氏は、Zuneを使って更新と同期ができるのはいつか、そもそもその可能性はあるのかに関して、そのためには、Zuneアプリケーションにいくつかの変更が加わるだろうとみる。

 だが、MobileTechWorld.comの編集長、Makram Daou氏は、Doradoを携帯電話のハブにするのは簡単な作業ではない、と述べる。

 「Microsoftはまず、ZuneサービスをWindows上の『Windows Mobile Center』に統合する方法を探し出す必要がある。次のステップは、Zune(プレイヤー)をWindows Mobile端末のデフォルトのメディアプレイヤーにしてしまうことだ。“プレイヤー”といった理由は、Microsoftは現在、世界中の人が利用できる音楽マーケットプレイスという観点でiTunesが提供するサービスを提供できる立場にないと見るからだ」。

 Daou氏は、Microsoftはキャリアが自社の音楽ストアをWindows Mobile搭載機に実装するのを禁止できない点に触れ、キャリアと提携して一部端末でZune Marketplaceを独占的なマーケットプレイスにする必要がある、と続ける。その後も、MicrosoftがWindows MobileでどのようにZuneビデオを扱うのかという問題が待っている。

 「帯域の問題があるので、まずは(iTunesのように)ダウンロード可能なコンテンツを最初に提供し、2011年〜2012年に『Silverlight』ベースのストリーミングになるのではないか」とDaou氏は述べた。

 わたしが話を聞いた人の中で、独占禁止法違反への懸念を指摘した人はいなかった。どの範囲までなら、新たな独禁法不満が持ち上がることなく、MicrosoftはWindowsにZuneソフトウェアを統合できるのだろうか?(単にWindows Media PlayerをZuneソフトウェアで置き換えれば、問題は少ないのだろうか?)

 どのようになるにせよ、今後数カ月の間、Windows Mobile 7とPinkフォンのモバイルOS、さらにはDorado/ZuneインターフェースについてMicrosoftがどのような発言をするのかが注目される。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ

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