インターネットにおけるソーシャルブックマークサービスと同様に、ブックマークレットなど簡易に情報登録ができる機能や、自由にコメントやタグの設定ができるなど、既存のナレッジツールにはない操作性の高さもあってか、社内での評価はおおむね良好だった。特に、他の社員のブックマークを利用する社員にとって、知らない情報や情報源を新たに知ることができるだけでなく、ブックマークした情報に対するコメントや、それを起点とした複数社員によるディスカッションの場がオープンになっていることで、同僚の考え方がわかるといった評価も非常に高かった。
図表3:ソーシャルブックマークの利用効果
一方で、ソーシャルブックマークの社内利用に対する運用上のポイントもいくつか見えた。今後、ITベンダーなどから企業向けのブックマークサービスが次々と発表され、採用を考えるユーザー企業も増えると思われるが、その際の製品比較や評価の基準として参考にしていただければ幸いである。
まず、社内での利用にあたっては、タグの整理や丸め込みを行う機能が必要となる。インターネットの世界でのソーシャルブックマークでは、情報を体系化するプロセスはそれぞれのユーザーの判断に委ねられ、タグの表記ゆれなどによる多少の誤差はあっても大まかな傾向を把握できればよしとする、いわゆるフォークソノミー(Forksonomy:ボトムアップ的で多次元かつフラットな分類方法)によって運営されている。
だが、社内での利用では、こうした表記ゆれが多くなると、情報の体系的な整理や収集効率を妨げてしまうことが考えられる。たとえば、「ナレッジマネジメント」「KM」「ナレッジ」などが別々のタグ名称で登録されてしまうと、タグをキーワードとして関連情報を探し出すことが困難になる。また、タグクラウドでも、タグのフォントサイズによる情報収集の度合いの濃淡が見えにくくなる。社内利用でフォークソノミーを生かすには、管理者がある程度標準的なタグの設計と表記ゆれを修正し誤差を極小にするといった、トップダウン的なアプローチ、つまりタクソノミー(Taxonomy:トップダウン的で体系だった分類方法)が必要だ。効果的な情報共有を実現するには、フォークソノミーとタクソノミーをどう使い分けていくかが成功のポイントになる。
次に、社内情報に対するアクセス制御の確保も評価ポイントとなる。企業内の情報の多くには、ユーザー情報や組織・職位情報などに対応したアクセス制御が施されている。情報漏えいリスクなどを考えると、社員や部内関係者であっても非公開となっている情報も多い。このようなセキュリティレベルの高い情報をブックマーク対象とするべきかどうか、また、対象とする場合、社内の認証基盤やブックマークの対象となる情報に付属するアクセス制御情報との連携が可能かどうかは、ソーシャルブックマーク導入の目的にもかかわる部分であり、重要な検討事項になる。
これまでは、インターネット上のソーシャルブックマークサービスやフリーウェアを使って社内での利用の可能性を探る企業が多かったが、2007年に入り各ITベンダーからも企業向けソーシャルブックマーク製品やサービスが登場しはじめているようである。システム自体のシンプルさに加え、導入や利用者への周知・操作が容易なこともあって、2007年はナレッジマネジメントや情報共有に積極的なユーザー企業を中心に、全社での導入を検討する企業が現われるだろう。このような企業には、前述したポイント等に留意しながら、社内での利用シーンを十分に設計することを勧めておきたい。
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