業務のすべてがノウハウに--社内でWikiを利用するヤフー

林信行 2007年04月18日 08時00分

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知識やノウハウを見えるカタチで蓄積

 人材の流動化が勢いを増す中、日々の業務の中で生まれてくる「気づき」や「ノウハウ」をいかにカタチにし、資産として残すかは、今日の企業にとって重要な課題だ。今、そうした「集合知」を蓄積し、更新し、さらに見つけ出すためのツールとして注目を集めているのが「Wiki」というツールだ。

 Wikiはウェブサイトのひとつの形態だが、誰でも簡単にコンテンツを追加、削除し、編集できることが特徴となっている。例えばこの記事がWiki上に掲載されていれば、読者であるあなた自身が情報を追加したり、修正したりできることになる。

 誰もが自由に編集できたら混乱が生じると心配する人もいるかもしれない。しかし、実践してみるとちゃんとした秩序が生まれることは、インターネットの百科事典としてお馴染みの「Wikipedia(ウィキペディア)」が証明している。

 Wikipediaは、このWikiでつくられている。数万人の人が編集に関わり、全記事数は251言語、700万件近くにまで及ぶ。政治や宗教、価値観のように意見対立が起こりやすいテーマでは、たびたび編集合戦が起きることもあるが、そうしたことも含めて重要な情報媒体となっている。

 誰でも編集できてしまうと、悪意を持った誰かに「それとはわからないように」情報を功名に改ざんされると心配な人もいるだろう。ただ、Wikiでは編集行為を記録に残すことができる。つまり、あとでその情報に問題があるとわかった時、その編集を行ったのが誰なのか、ちゃんと確認できるようになっているのだ。

図1 Wikipediaの編集履歴。Wikiのページは自由に編集できるが、いつ誰がどのように変更したか、履歴が残る

 Wikiによる知識共有の有用性にいち早く気がついたのはソフトウェアエンジニア達だ。毎日、数万から数十万行のプログラムコードと向き合い、基盤技術や他プログラムとの連携も視野に入れなければならないソフトウェアエンジニアにとって、効率的な知識の共有は重要な課題だ。このためエンジニア主導のベンチャー企業などでは、早期からWikiを導入しているところが多い。

 米Six Apartなども、早期からエンジニアが個別にWikiを立ち上げて情報を共有していた。そうした先進事例の多くでは、Wikiでのアドレス帳や議事録の共有といったように、「技術」以外の情報を共有する方向に進む傾向があった。だが、そこでWikiの扱いの難しさが障壁となった。Wikiを使った文書の編集は、ITに強い技術職の人材にはわかりやすいが、そうでない人材には敷居が高い。このため利用者や蓄積される情報に偏りが生まれやすかったのだ。

 こうした問題を解決すべく、最近、企業の知識共有向けに作り直されたWikiプログラムがいくつか登場している。それが、Enterprise 2.0時代のナレッジマネジメントツール「Enterprise Wiki」として注目を集めている。2006年11月末には、Enterprise Wikiサービスの1つである「JotSpot」をGoogleが買収したことでも話題になった。

全社員がWikiを利用するヤフー

 Enterprise Wiki製品としては、上述のJotSpotのほか、豪Atlassian Software Systemsの「Confluence」が有名だ。国内でもライトアップ社の「Wuki」、スターティアの「Digit@Link CMS」など、いくつかの製品やサービスがある。一方で、マイクロソフトの「SharePoint Server 2007」やアップルの「Mac OS X "Leopard" Server」(2007年秋頃発売予定)など、サーバプラットフォームにもWikiの機能を組み込んだものが増えている。

 そうした中、実際にWikiを社内の広範な業務に応用する事例も増えており、日本テトラパックや三菱東京UFJ銀行などにて大型の導入事例も出始めている。

表 主なEnterprise Wikiの製品及びサービス
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