あなたがITに疎い家族の面倒を見ているのか、国際的な大企業の担当者とやり取りをしているのかに関係なく、あるタイミングでMicrosoft Windowsの再インストールを行う必要が出てくるはずだ。本記事では、そういった作業をスムーズに行うための手順について解説する。
Microsoft Windowsの再インストールを行った方がよいという主張の根拠はいくつかある。Windows 2000やWindows XP、Windows Vistaにかかわらず、レジストリが破損する場合もあれば、もはや使うことのなくなったプログラムの設定がレジストリ内に蓄積されていくことで、パフォーマンスの低下につながっていく場合もあるのだ。また、癖の悪いトロイの木馬が仕掛けられていることに気付く場合もあるだろう。さらに、Windowsを再インストールすることでしか対処できない凶悪なウイルスというものも考えられる。
私は今までずっと、Windowsの再インストールを行うためのきっちりとした手順を文書化しておくことが必要だと感じていた。私はいつも再インストールを終えてから、やり残したことを思い出し、再インストールによって失われたIDやパスワード、各種の設定、お気に入りのウェブサイトを復元するために格闘してきたのだ。
再インストールを行うために、まとまった時間を確保することは重要である。こういった作業は、期末のレポートや仕事で使うプレゼンテーション資料の提出期限が迫っている時にやるものではない。やるとすれば週末がよいだろう。
OSの再インストールは、アップグレードを検討する良いタイミングでもある。そして、Windows Vistaにアップグレードしたいという場合、選択肢は数多くあるのだ。こういった選択肢の詳細やWindows Vistaの長所と欠点に関する情報については、「Vista Confusion」という記事を一読して欲しい。
本記事ではWindows Vistaに焦点を当てているものの、そのコンセプトはWindowsの全バージョンに適用することができるはずだ。
Windows Vistaのセットアッププログラムを実行すると、「アップデート」と「カスタム(詳細)」という2つの選択肢が表示されたウィンドウが開く。「アップデート」という選択肢は、Windows Vistaの再インストール時には利用できない。「カスタム(詳細)」という選択肢では、いわゆるクリーンインストールが行われる。以下で解説している10個の手順に従うことで、再インストール後に必要となるファイルや情報をごちゃごちゃにしなくても済むようになるはずだ。
注意:私はこの記事の内容について何度もチェックを重ねてきた。それでもまだ過ちや抜けている情報があるかもしれないし、あなたが必要としている特殊な設定を網羅できていない可能性もあるだろう。こういったものについては、コメント欄を使ってフィードバックを行って欲しい。
再インストール前にやるべきこと
#1:ログインIDやパスワード、各種設定を文書化しておく
ウェブサイトのパスワードをブラウザに記憶させている場合、Windowsを再インストールした後でそのことを思い知らされるはずだ--こういった情報は消えて無くなってしまうのだ。ブラウザは、ウェブサイトのIDやパスワードを保管しておく場所として不適切なのだ。
こういった情報を保管しておく場所として、スプレッドシートを挙げることができる。ただし、ExcelやOpenOffice.orgの表計算機能が提供している、パスワード保護されたスプレッドシートを使ってIDやパスワードを保管するという場合、これら多くのファイル形式に対応したパスワードの復元/発見プログラムが存在しているということにも注意しておいて欲しい。ここでのお勧めは、Excel 2002やExcel 2003、Excel 2007が提供しているより強力な暗号化技術を使用するというものだ(英文記事)。
Excel 2002以降をお持ちなのであれば、スプレッドシートをハッカーの手に届かない場所に保管し、パスワードをなくさないようにすることだ!次に、このスプレッドシート内にIDとパスワードを追加していくことになる。つまり、ISP、電子メール、ウェブホスティング会社、個人ウェブサイト、その他のパスワード保護されたログインごとに行を作成していくのだ。このスプレッドシートには、電子メールで使用するPOP3やSMTP、あるいはニューズサーバ名を保管することもできるだろう。
Excelを持っていない場合であっても、IDやパスワードを書いたメモを鍵のかかる安全な場所に保管したり、他のソフトウェアを利用することもできる。RoboFormはフリーウェアではないものの、ブラウザのログインユーザ名やパスワードを安全に保管できるようにするための有名なソフトウェアである。またGuardID Systemsは、IDやパスワードを安全なかたちで保管できるようにするID Vaultという製品を手ごろな価格で提供している。IDやパスワードを安全性の保証できないメモ帳やWordのファイルとして保存し、あなたのコンピュータにアクセスできる人やハッカーであれば誰でも「そのままのかたちで」読めるようにしておいては「いけない」のだ。
#2:電子メールやアドレス帳、ブックマーク/お気に入り、クッキーをエクスポートしておく
Outlook Express、Outlook、MS Mailやほとんどのサードパーティー製電子メールプログラムでは、電子メールや連絡先をエクスポートできるようになっている。私は電子メールのエクスポート先としてArchiveフォルダ内にMail Exportsというフォルダを作成している。また、エクスポートはさまざまなメールボックスから行えるようにもなっている。「受信トレイ」や「送信トレイ」「送信済みアイテム」「下書き」を選択しておくのがよいだろう。特別な理由がない限り、「ごみ箱」や「迷惑メール」は除外しておいても構わないだろう。
私は「アドレス帳」をわざわざエクスポートするようなことはしていない。連絡先アドレスが必要となった場合、私はアーカイブされた電子メールからそれを抽出するようにしているのだ。とは言うものの、大量の連絡先アドレスを管理している場合は「アドレス帳」をエクスポートしておくのもよい考えだろう。
私は、お気に入りのウェブサイトのブックマークのことをいつも忘れてしまう。そしてWindowsの再インストールを行った後で、お気に入りのサイト探しに無駄な時間を費やしてしまうのだ。次にWindowsの再インストールを行う際、私はIEのお気に入りとFirefoxのブックマークをエクスポートしようと心に誓っている。また、フィードやクッキーもエクスポートすることができる。
#3:最新のアプリケーションとドライバをダウンロードしておく
使用することの判っている重要なアプリケーション一式を挙げることができるはずだ。こういった重要なアプリケーションは、デスクトップとスタートメニューを見てみることで洗い出すことができるだろう。デスクトップのスクリーンショットをシステムフォルダ以外の場所に保存しておけば、重要なアプリケーションを再インストールする際に利用できるはずだ。また、コントロールパネル内の「プログラムと機能」内にインストールされているプログラムも調べておくとよいだろう。
私はDocumentsという名前の論理ドライブを用意し、その中にDownloadsというフォルダを作成している。ここにインターネット経由でダウンロードしたすべてのアプリケーションとドライバを格納しているのだ。こういったアプリケーションやドライバは結構たくさんあるため、気が付けばフォルダにごちゃごちゃと入っているということになりかねない。そのため私は、アプリケーション用とドライバ用のものを含む数多くのサブフォルダに分けて整理している。
いったん重要なアプリケーションの一覧表ができあがったのであれば、インターネットから最新のバージョンをダウンロードし、それらを\Downloads\Appsフォルダや、システムフォルダ以外の好きな場所に保存しておこう。
重要なアプリケーションのいくつかはDVDやCD、フロッピーディスクの形態で提供されているかもしれない。そんな場合、これらのメディアを取り出し、この後の再インストールに備えて積み上げておこう。
次に、お気に入りのアンチウイルスソフトウェアの最新バージョンをダウンロードすることになる。私はALWIL Softwareのavast!がお気に入りだ。無償のHome Editionには、電子メールやIM、ウェブブラウザ、Outlook Exchangeの他、4種類のリアルタイム保護機能が含まれている。可能であれば、最新のウイルス定義を含んだファイルをダウンロードしておいて欲しい。
必要なドライバはどのようにして調べればよいのだろうか?ドライバは、そのアップデート方法によって2種類に分類することができる:
マザーボード固有のドライバ -- 自動アップデート
- システムとチップセット(通常はIntel)
- オンボードサウンド
- オンボードビデオ(一部のマザーボード)
- オンボードLAN
多くのマザーボードメーカーやコンピュータベンダーは、マザーボード関連のドライバが最新であるかどうかをチェックするアプリケーションを提供している。メーカーやベンダーがこういったアプリケーションを提供しているのであれば、そのウェブサイトにアクセスし、今すぐ最新版をダウンロードしておいて欲しい。
アップデートユーティリティが手に入らない場合、必要となるマザーボード関連のドライバを手作業で洗い出す必要がある:
その他のドライバ -- 手作業によるアップデート
- サウンドカード(コンピュータにサウンドカードが搭載されている場合)
- ビデオカード(コンピュータにビデオカードが搭載されている場合)
- モデム
- RAID(RAIDコントローラカードが搭載されている場合。Intel Matrix RAIDやJMicron RAID等)
- その他固有のデバイス
システムに搭載されているビデオカードやサウンドカード、モデム、RAIDやその他固有のデバイスのタイプが判らない場合、「デバイスマネージャ」をオープンすることで洗い出すことができる(図A)。
RAIDを使用していないのであれば、ストレージコントローラを洗い出す必要はない。RAIDを使用しているのであれば、フロッピーディスクの形態で利用可能なドライバファイルを、あるいはWindows XP以前のバージョンをインストールしているのであればCDの形態で利用可能なドライバファイルを用意しておく必要がある。また、正しいドライバ/コントローラ名を知っておく必要もある--私のシステムではIntel 82801 GR/GH SATA RAIDであった。Windows Vistaはそれ以前のWindowsとは異なり、セットアップ中にハードディスクを認識するようになっているため、その時点でRAIDドライバの名前が判るはずだ。
私のシステムにはサウンドカードが搭載されていないものの、あなたのシステムに搭載されているというのであれば、「サウンド、ビデオ、およびゲームコントローラ」という項目を展開し、あなたのコンピュータ内にインストールされているサウンドカードを調べて欲しい。
Mike Smith氏は手軽なWindows再インストールチェックリスト(PDF)をまとめている。これを印刷して使用すると便利だろう。インストールする必要のあるドライバを洗い出せたのであれば、それらをダウンロードし、システムが格納されている論理ドライブ以外の場所に保存しておこう。新しいドライバが利用できない場合を除き、昔のフロッピーディスクやCDを引っ張り出してくるようなことがあってはならないのだ。