今回は、サーバの仮想化をひも解いて解説しようと思う。昨今の仮想化ブームの火付け役は、このサーバの仮想化技術の普及だろう。サーバの仮想化と一口に言っても、実はさまざまなものがある。サーバの仮想化を大きく分けると、その種類は以下の3つ分類できる。
その1:ファームウェアで仮想化
最初は、ファームウェアで実現するサーバの仮想化だ。ファームウェアとは、工場から出荷されたハードウェアの状態のことだ。つまり、ハードウェアそのものに仮想化のためのリソースを分割、合体する機能が搭載されていることになる。この技術は、さかのぼればメインフレームにまでたどり着く。メインフレームの仮想化技術については説明を割愛するが、メインフレーム以外にもファームウェアでサーバの仮想化を実現できるのは、主にハイエンドクラスのUNIXサーバなどだ。
一部のハイエンドのUNIXサーバ、特にCPUをたくさん搭載したSMP(Symmetric Multi-Processing:対称型マルチプロセッシング)形式のマシンなどで、ファームウェアレベルでのサーバ仮想化が実現できる。これらのマシンでは、ファームウェアによって1つの筐体内にあるCPUやメモリなどのハードウェアリソースを物理的に分割できる。そして、それらをあたかも個別のマシンのように見せかける設定が可能だ。
例えば、Hewlett-Packardの「HP Integrity」サーバシリーズやIBMの「System p」シリーズ、Sun Microsystemsの「E20K/25K」といったサーバでは、パーティションあるいはドメインなどと呼ばれる単位ごとに、搭載されているハードウェアリソースを分割できる。分割したそれぞれのパーティションに別々のOSを導入し、1台で複数のOS環境を動かすことができるのだ。
この方法によるサーバ仮想化の利点は、ファームウェアレベルで仮想化を実現しているため、仮想マシンを実現する仮想化ソフトウェアの負荷が存在せず、ハードウェアの持つ性能を引き出しやすいことにある。さらに、個々の仮想マシンが物理的に独立しているので、仮にCPUやメモリに何らかのハードウェア障害が発生しても、当該の仮想マシンだけが影響を受け、他の仮想マシンはそのまま稼働し続けられるというメリットもある。
逆にデメリットとしては、各ハードウェアベンダー独自の手法で仮想化を実現していることにある。そのため、当然ながらベンダー間で互換性がないのはもちろん、仮想マシンで動くOSにもベンダー独自の制限がある。
その2:ホストOSの上で仮想化ソフトウェアを動かす
次の仮想化サーバの実現方法は、通常のOSの上で仮想化ソフトウェアを実行して仮想マシンとし、その仮想マシン上でさらに別のOSを稼働させるというもの。もともと動いているOSをホストOS、その上の仮想マシンで稼働するOSをゲストOSと呼んで区別する。
この方法では、通常のアプリケーションがOS上で動くのと同様、ホストOSの上で動く1つのアプリケーションとして仮想化ソフトウェアが稼働する。ホストOSにとっては、仮想マシンも仮想化ソフトウェアも単なるファイルに過ぎず、削除したりコピーしてバックアップをとったりといった作業は、他のアプリケーションと同じだ。
これは最も簡単にサーバの仮想化を体験できる方法だ。Microsoftの「Virtual Server 2005 R2」やVMwareの「VMware Player」、「VMware Server」など、無償で提供されている仮想化ソフトウェアもあるので、コストをかけずすぐに試すことができる。
この方法は扱いは簡単だが、ゲストOSとハードウェアとの間に仮想化ソフトウェアとホストOSという2つのソフトウェア層が入るため、どうしてもこの部分が性能のボトルネックとなる可能性がある。また、当然ながら負荷の大きなアプリケーションが一緒に稼働している場合には、ゲストOSのリソースが十分に確保できないかもしれない。
関連情報
-
日立、BladeSymphonyのXeonモデルにサーバ仮想化機構「Virtage」が対応
日立製作所は、統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony」のハイエンドモデル「BS1000」で、日立独自のサーバ仮想化機構「Virtage」を標準搭載したインテル Xeon プロセッサー サーバモジュールを製品化し、7月25日から販売開始する。 - IBM、仮想化を強化したAIXのベータを一般公開
- 「サイジングは仮想化成功のキー」--IBM、仮想化前と仮想化後が見えるソリューション
- 仮想環境の統合管理を目指すNECの「WebSAM SigmaSystemCenter」
- VMware
- XenSource
- Microsoft
「経営が知るべきバズワード」 の新着情報
-
ファーストリテイリングCIOが考える「CIOの資質」とは
2008年9月3日、「JUASスクエア『ITガバナンス2008』」が開催された。初日に行われたパネルディスカッションでは、ファースト... - レッドハット、仮想化企業Qumranetを買収
- OLPC、「Give One, Get One」プログラムを再開
- 企業ITの船長は誰? 何を頼りに船を進める?
- グーグルが「Chrome」を作った理由--高速ブラウジングがもたらす利益
- 経営が知るべきバズワード 一覧へ »
「仮想化技術をひも解く」 のバックナンバー
-
仮想化市場の展望--仮想化技術をひも解く(最終回)
「仮想化技術をひも解く」最終回は、仮想化のこれまでの進化と今後の行方、そして仮想化の問題点などを解説する。 -
IPOによる追い風でサーバ仮想化市場を牽引するVMware--仮想化技術をひも解く(8)
-
オープンソース仮想化ソフト「Xen」とXenSourceの行方を探る--仮想化技術をひも解く(7)
-
マイクロソフトの仮想化戦略--仮想化技術をひも解く(6)
-
CPUの仮想化サポート技術は一体何をサポートしているのか--仮想化技術をひも解く(5)
- 仮想化技術をひも解く 一覧へ »
ZDNet Japan Essential Topic
-
【今注目のIT企業は何を考える…??】
オススメIT系求人情報も毎週月曜日更新! -
コラボレーション基盤特集
Notes置換とバージョンアップの情報はこちら
企画特集
-
Webセキュリティ特集
Web2.0時代の脅威へ対抗するためのソリューションとは? -
APC SOLUTIONS FORUM 2008をレポート
電源、冷却の効率化によるエネルギー削減とは? -
KDDI「SaaSソリューション」
〜社内コミュニケーションの課題への解決策とは〜 -
ログ管理ソリューション特集
セキュリティ、コンプライアンス対策で注目度アップ! -
ZDNet Japan ホスティング特集
2008年夏のホスティングサービスのトレンドは何? -
サーバ仮想化・グリーン化の利点を最大化!
多機能・高価値なNetAppストレージの秘密とは -
セキュリティ対策レベルテスト公開!
自社のセキュリティのウイークポイントはドコ? -
Techno Exchange
RackableとCTCの地球にやさしい関係 -
ZDNet Japan Green IT
サミットだけでは終わらせない!エンタープライズの取り組みはこれからだ! -
「シンプル」&「低コスト」な運用管理
IT運用管理に関するアンケート実施中! -
IronPort Sシリーズ
Webからの脅威に関する課題の3つの解決方法 -
Secure Web
Web2.0時代にプロアクティブなセキュリティを実現!! -
【ログ管理】Logstorage、SecureEagle/SIM
内部統制のためのソリューションを紹介!
ZDNet Japan イベント
- 開催日:2008年9月29日(月)
- イベント一覧へ»