電機大手11社の連結決算が出揃った。
日立製作所、ソニー、シャープ、東芝が過去最高の売上高を達成。11社中7社が増収という結果になった。
減収となった松下電器産業もわずか0.4%減のマイナス。日本ビクターが連結対象から外れたことなどが影響しており、これらを除けば過去最高を記録した前年からはプラス成長となっており、好業績を記録する企業が相次いだ。
また、営業利益では、三菱電機が過去最高を達成したのをはじめ、7社が増益となっている。
だが、最終損益では、松下電器、ソニーが過去最高を記録したのとは裏腹に、日立製作所、パイオニア、日本ビクターが赤字決算となるなど、構造改革の爪痕が残る厳しい結果になった。
中期計画の達成に向け好発進した松下電器
各社の2007年度連結決算の様子を見てみよう。
松下電器は、売上高が前年比0.4%減の9兆689億円。営業利益は13.0%増の5195億円、税引前利益は0.9%減の4350億円、当期純利益は29.8%増の2819億円。すべての部門での増収を達成したという。
「厳しい経営環境のなかにありながらも、公表値を上回り、中期経営計画GP3の初年度としてスタートダッシュに成功し、十分な実績を得た」と、同社代表取締役社長の大坪文雄氏は2007年度の業績を総括する。
なかでも牽引役となったのがAVCネットワーク分野だ。売上高は前年比6%増の4兆3196億円。営業利益は15%増の2523億円となった。薄型テレビ、デジタルカメラ、カーエレクトロニクス事業が好調に推移。とくに、薄型テレビなどのデジタル家電製品を担当するパナソニックAVCネットワークスは、売上高が16%増の2兆2816億円、営業利益が7%増の1216億円と好調な業績となっている。
興味深いのが、ロシアや中近東などに対する103インチプラズマテレビの拡販戦略。中近東では王族および超富裕層向けの販売を強化しており、「ロシアでは前年比919%、中近東では374%増と、大変好調な実績になっている」という。
また、「GP3計画の成否を決める年になる」と大坪社長が断言する2008年度については、売上高は前年比1.4%増の9兆2000億円とする。日本ビクターおよび為替換算差を除くと、実質ベースでは前年比7%の成長としている。営業利益は7.8%増の5600億円、営業利益率は6.1%。税引前利益は14.9%増の5000億円、当期純利益は10.0%増の3100億円となった。
増収計画では、デジタルAV機器で2300億円、カーエレクトロニクスで200億円、半導体・デバイスで600億円、生活快適実現事業で1100億円を見込み、なかでもデジタルAVCネットワークでは前年比7%増の4兆6200億円の売上高、2670億円の営業利益を目指すという。
10月に社名変更、ブランド一本化といった創業以来の大仕事を控える松下電器にとって、大きな転換の一年になるのは間違いない。