金融商品なんて難しく考えても……

飯田哲夫(電通国際情報サービス)

2008-12-17 14:05

 いよいよ年の瀬である。親戚一同の分まで正月用の黒豆を煮ることを余儀なくされている私は、週末に乾物屋へ黒豆を買出しに出かけた。普通の店では黒豆は200グラムくらいに小分けにされていて割高なのだ。親戚の分まで黒豆を用意するためには、1キロの黒豆が要る。このぐらいの分量になると、乾物ならば大量に売っている乾物屋の方が割安なのである。

無味無臭、そして乾燥

 乾物屋に並ぶ乾き物の数々を眺めていると、ある金融関係者の言葉が思い出された。「金融商品というのは、いろいろ細工はこらしているものの、結局は無味無臭、しかも乾燥してるんだよ」と。なるほど。表面的にはいろいろとバリエーションはあるものの、結局はいくら出せばどれだけのリターンが得られるのか。どれだけ借りると、どれだけの金利を払わねばならないのか。結局はこの事実があるだけなのである。

ならば乾物屋を見習って

 米国には、この事実を逆手に取った金融機関がある。ING Direct USAという、オランダ資本の金融グループが米国で展開したネットバンクだ。金融商品は所詮コモディティ。ハイボリューム、ローマージンのビジネスなのだからと、食品スーパーを模範に銀行業の展開を始めたのである。

 今でこそローコスト・オペレーションで高金利の定期預金を提供するネットバンクのモデルは一般的であるが、2000年に開業したING Direct USAはその先駆けと言っていいだろう。しかも、ITバブル期に大量消費を謳歌してきた人たちに「貯金しましょう」と呼びかけたのがING Directであった。借金をしてでもお金を使わせようとしてきた他の金融機関とは全く別の路線を取ったのである。

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