生活はもちろんビジネスでもインターネットへの依存度が高まっている。その傾向とともに、ネットワークの広帯域化は強まっており、ネットワーク機器の高速化の傾向も強まることになっている。ネットワーク機器大手の米Foundry Networksでスイッチ関連のプロダクトマーケティングディレクターを務めるGopala Tumuluri氏に話を聞いた。
--2月に発表した「ServerIronGT 10G」シリーズとはどういった製品になるのでしょうか。
この2月に発表したServerIronGT 10Gシリーズは、いわゆるレイヤ4-7スイッチであり、10Gビットに対応したアプリケーションスイッチです。この2月に発表したのは、同シリーズを構成する「ServerIronGT C 10Gx2」と「ServerIronGT E 10Gx2P」の2種類です。
どちらも10Gビットに対応したポートを2つ備えており、購入後に拡張できるモジュール型スロットを取っています。Cの方は、高さ2Uでファンの取り外しができます。ファンが取り外しできるのは、ラックに収めて、より高密度に集積させたいとした時に対応しやすくするためです。Eの方は、モジュール型スロットを4つ備えており、ホットスワップに対応しています。またEの方は、管理しやすさを考えて、電源を前面に配置しています。
--このような製品を市場に投入するのは、どういったことが背景にあるのでしょうか。
企業では、システムを一元化する方向にあり、データセンタも統合しようとしています。データセンタを統合することは、データセンタ1カ所あたりのトラフィックも増大することになります。またそれと平行して、企業内で利用されるアプリケーションもウェブアプリケーションへの移行がかなり進んでいます。このこともつまりトラフィックの増加を招くことになります。
このようなことから、アプリケーションスイッチやロードバランサには、今まで以上の高性能が求められています。しかし、その一方で、従来のアプリケーションスイッチやロードバランサがボトルネックとなるという局面が出ています。今回発表した新製品は、このような市場とのギャップを埋めるためのものです。
また、サービスプロバイダは、従来製品よりも高いパフォーマンスと高いスループットを求めており、今回の新製品はサービスプロバイダからのニーズにも対応できます。
--企業は、データセンタの使用料にも頭を抱えていますが、同時に電力消費量にも頭を悩ませています。
そうですね、企業がデータセンタの使用面積と電力消費量の両方に悩んでいるという話はよく聞こえてくる話題です。 今回発表した製品は、その両方を解決できるものだと考えています。というのは、Cはモジュール型スロットを3つ備えていることで、省スペースを実現できるからです。これは日本のデータセンタ向けの製品とも言えるでしょう。また、その消費電力は500ワットですが、これは市場に流通している他社製品と比べて3分の1を実現しています。
--先ほどトラフィックが増加していると言いましたが、どの程度増加しているのでしょうか。
この2〜3年でトラフィックは年率20〜30%ずつ増加しています。しかし、この増加率は、アプリケーションのウェブ化を考えると、今後ますます高まるものと考えています。
現在、トラフィック増加の原因はウェブやメールだとされています。しかし、現在は、これらデータに加えて、音声やビデオもIPを通じて流通するようになっています。いわゆるトリプルプレイ・サービスが今後ますます普及することが容易に想像できます。こうしたことを踏まえても10Gビットへの対応が求められるようになっています。
日本ではVoIP、いわゆるIP電話の普及が拡大しているそうですね。しかし、現段階でVoIPはそれほどトラフィック増加の主流ではありません。もちろん、今後のことを考えると、VoIPがトラフィック増加の大きな原因になることは否定できません。
--日本という市場をどのようにとらえていますか。
先ほどのIP電話の普及に加えて、日本ではブロードバンドのアクセス回線が一般家庭に普及していますよね。さらに、ワイヤレスの点でも、多くのユーザーが利用しています。日本国内のトラフィックも実際多いです。これらのことを考えると、日本のネットワーク事情は世界の最先端を走っていると言えるでしょう。
今後はIPをベースにしたコミュニケーションが増加するわけですが、そうしたことを考えると高性能で高いスループットを実現できるスイッチは、非常に重要なネットワーク機器になります。日本では、ネットワーク機器自体の品質はもちろん、通信品質に対しても、非常に厳しいと思います。その日本でも、わたしたちの製品は実用に耐えうるものだと信じています。